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ある晴れた日に
33部分:噂はそよ風の様にその十
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噂はそよ風の様にその十

「この前二人で植えたあれだよな」
「昨日見たら結構大きくなったけれど」
「そうだよな。じゃあ今日もか」
「ええ。見ておきたいのよ」
 こう正道に話す。
「少しだけだけれど」
「そうだよな。花っていうのはいつも見ておかないとな」
「そうなの。それが大変なんだけれど」
「ああ、わかったよ」
 ここで未晴の言葉に頷く正道だった。
「じゃあお昼一緒にな」
「御願いね」
「何か随分といい雰囲気だな、おい」
 今の二人を見て野茂が言った。
「さっきまであんなに騒がしかったのによ」
「未晴がいるとどうしてもこうなるのよ」
 静華が笑って皆に述べる。
「どうしてもね」
「そうなの」
 静華の言葉に茜が反応を見せた。
「そういえばあんた達の中では異色よね」
「異色なのね」
 凛は今の茜の言葉に少しふてくされたような声をあげた。
「じゃあ私達が何か悪いみたいじゃない」
「悪いって言うか五月蝿いよな」
「ああ、その通りだよ」
 坪本と佐々がその凛達に対して言う。
「まだ四月の中頃でここまで五月蝿いなんて思わなかったぜ」
「御前等少し静かにしろよ」
「暴れた数だけ優しくなれるのよ」
 しかしその中の一人咲はこう言って居直ってきた。
「だからね。いいのよ」
「いや、よかねえよ」
「で、何で竹林だけ違うんだよ」
 野茂と坂上がまた彼女達に突っ込みを入れる。
「五人騒がしくて一人物静かってな」
「同じ中学でも何で一緒なんだよ」
「あれかな。何故か気が合って離れられないって」
 竹山がここで言うのは軍歌のそれだった。
「だからじゃないの?」
「おっ、竹山わかってるじゃねえか」
 春華は今の彼の言葉に笑顔になる。
「その通りだよ。タイプは全然違うんだけれど気が合うんだよ」
「そうそう」
 奈々瀬はにこりと笑ってそっと未晴に寄り添う。
「未晴って凄く優しいのよ。親切で温厚でね」
「それがいいのか」
「そう、いいのよ」
 男達の質問に堂々とさえしている奈々瀬だった。
「私いつも助けられてきたのよ。だから未晴大好き」
「もう、奈々瀬って」
 そんな奈々瀬に微笑みを返す未晴だった。
「私の方が助けてもらってるじゃない、いつも」
「そうかしら」
「そうよ」
 その微笑みで彼女に言葉を返す。
「いつもね。感謝してるわよ」
「有り難う」
「まあ、実際にこんないい奴いねえよ」
 春華も笑って親指で未晴を指し示しつつ言う。
「おっとりしていて物静かで優しくてな」
「女の子らしいってやつだね」
「そう、その通りよ」
 咲もにこにこと笑って未晴を横で見て桐生の言葉に応える。
「咲もずっと助けてもらってるからね」
「咲、それは」
「けれど本当のことじゃ
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