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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
緋が奏でし二重奏 T
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入れ替わる。少しでも防御手段を誤れば、一気に敗勢に陥ってしまう。その点、アリアと理子とはお互いに譲歩しなかった。そうしてそのまま、同時に弾切れを起こす。
──加勢をするなら、ここが最善だろう。そう直感した後に、銃を仕舞ってから、背に隠匿していた《緋想》を抜刀する。その刹那に《明鏡止水》も発動されていた。

そのまま理子の側面をすり抜けて、背後を捉える。アリアとの挟撃体制を構築したことで、こちら側が有利になったろう。依然として一定の距離を保ちながら、機会を窺っていく。
彼女等2人は同時に銃を仕舞うと、アリアはそのまま格闘術の体勢に、理子がそれを受ける──かのように思われたが、《明鏡止水》の動体視力が異変を捉えていた。フリルのあしらったスカートの中を、何やら理子はまさぐっている。その正体を推察すると同時に叫んだ。


「──アリア、理子から離れて!」


理子の舌打ちが聴こえたように思う。そうしてアリアが彼女から距離を置くのと同時に、聞き覚えのある銃声が、また周囲一帯を震撼とさせていった。理子は両手にUZIを握っていたのだ。
その片方をアリアに向けて発砲しながら、もう片方の撃鉄を起こしている。近接拳銃戦の時にこれを使わなかったのは、P99しか武器を持っていないとアリアに油断させるためだろう。そうして、これは、アリアを狙った攻撃ではない。背後をとった自分に対する、徹底した抗戦──。

アリアが銃弾を全て避け切ったことを見越したのか、理子はその金髪とフリルとを靡かせながら、両手に構えたUZIをこちらに向けて発砲してきた。《明鏡止水》で捉えた数十発の銃弾は、いくら《明鏡止水》といえども、その速度が完全に静止して見えるわけでもない。それでも、対抗策を講じるのに充分すぎる猶予はあった。もう答えは、決まっていた。

──避けるのか、否。《緋想》で斬るのか、否。そのどちらでもない。


「……甘いね」


一刹那に呟いた声が、理子に届いているかは分からない。それでも、ただ茫然としているだけの自分を見て、訝しむくらいのことはしていた。アリアも、同様だった。
……そう、傍目には何もしていないように見えるだろう。それでも、《境界》の発動条件に則れば、それはごく自然のことでもあった。《境界》を展開させるには、その場所を指定しなければならない。そこに焦点を合わせることと、手を翳して指定することの2つだ。

自分は茫然としていたのではない。それを物語る証拠が、眼前にはあった。紡錘形の《境界》は、UZIが無駄に吐き出した数十発の銃弾を、全て呑み込んでしまっている。
《境界》を閉じた時、茫然としているのは、理子の方だった。それでも何か思うところがあるのか、その金眼を瞠目させながら、納得したような声遣いで呟いた。


「……
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