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ある晴れた日に
32部分:噂はそよ風の様にその九
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噂はそよ風の様にその九

「私すぐわかったわ」
「私なんてずっとこいつと一緒にいるけれど本当に素直よ」
「だったらいいけれど」 
 どうも自分ではその自覚はないようだった。
「っていうかすぐ顔に出るわよね」
「そうそう」
 今度は静華と咲が言うのだった。
「横浜が負けた時なんか特に」
「咲それですぐにわかったわ」
「嘘がつけないっていうのはいいことだぜ」 
 野本が言ってきた。
「ただしな」
「ただし?」
 佐々が彼の言葉に応える。
「どうしたんだ、一体」
「こいつも嘘はつかねえぜ」
 野本は彼に応えて正道を指差してきた。
「音橋もな。ただしこいつはな」
「何だよ」
「馬鹿なんだよな、こいつは」
「おい、何だよそれ」 
 野本に馬鹿と言われて半分本気で切れた正道だった。
「御前に言われたくねえぞ、おい」
「いや、馬鹿だろ」
「どう見てもな」
 坪本と野茂も野本に同意してきた。
「御前が馬鹿じゃないと何なんだよ」
「他の何でもねえじゃねえか」
「俺こいつより成績はずっといいぞ」
 正道は必死な顔で野本を指差して力説する。彼の成績はクラスで丁度真ん中辺りだ。野本は当然最下位である。彼はそれを全く恥とはしていないが。ちなみにトップは竹山である。
「それで何だよ、俺は馬鹿なのか」
「人間的にな」
 今度は坂上が言ってきた。
「どう見ても馬鹿だろ」
「しかも大馬鹿だよ」
「御前等、また好き勝手言ってくれるな」
 春華も参戦していて余計にむくれる正道だった。しかしそんな時でも手に持っているギターを離しはしない。相変わらず何時でも演奏できる状態だ。
「何でそこまで言われなきゃいけねえんだ」
「馬鹿だからだよ」
「他に何があるんだよ」
「ちっ、すげえむかついてきたぜ」
 坂上と春華の言葉に不機嫌になるばかりであった。
「まあ嘘はつかないのは本当だけれどな」
「これで嘘ついたらそれこそ」
「救いようのない人間だよな」
 今度言ったのは奈々瀬と佐々だった。
「音楽も何かいつもずれてるし」
「才能あるにしても変な方向に行き過ぎだろ」
「俺は一つのジャンルに満足しない男なんだよ」
 強引にそういうことにしているのだった。
「言っておくけれどな」
「まあそれならそれでいいんじゃない?」
「少なくとも人に迷惑かけないならね」
 今度彼に言ったのは桐生と明日夢だった。
「僕は別にいいけれど」
「あんた結構暴走するしね」
「暴走ねえ。それがロックなんだよ」
 どうやっても強引なスタイルの正道だった。
「俺には俺の生きる道があるんだよ」
「やっぱり馬鹿だな、こいつ」
「全宇宙の誰が見てもな」
「へっ、もう何とでも言え」
 いい加減居直った正道だった。しかしその彼
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