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ある晴れた日に
3部分:序曲その三
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序曲その三

「じゃあフリータイムでいいな」
「それでフリードリンクよね」
「ああ、それでいいよな」
「ええ、じゃあ六時からね」
 明日夢は完全に商売人になっていた。かなりしっかりしていると言えた。そんな彼女達を見て二人はそのギターの男に話しているのだ。
「しかし、東と西かよ」
「ドイツみてえだな、何か」
「そういう御前等は何処の学校だよ」
「ああ、俺等か」
「同じ中学校なんだろ?」
 二人に対して問うのだった。
「御前等」
「まあな」
「実は小学校の頃から一緒なんだよ」
 二人はそれぞれ笑って彼に答えた。
「中学は暁中学さ」
「知ってるだろ」
「暁中学!?っていうとだ」
 彼は二人の話を聞いてふと顔をあげた。そのうえで彼等にまた問うた。
「桐生と同じ中学か」
「あれっ、御前あいつ知ってんの?」
「またどうして」
「塾で一緒だった」
 これが答えだった。
「それでな。知ってたんだよ」
「へえ、そうだったのかよ」
「塾が同じだったんだ、御前等」
「クラスも一緒だったぜ」
 関係は余計に近いものだということもわかった。二人はここまで彼等が近い場所にいることも知らなかったのである。顔にもそうした感情が出ていた。
「当然塾のな」
「また随分意外だな」
「ああ、その桐生だけれどな」
「どうした?」
「知ってっか?この学校だぜ」
「ああ、そうらしいな」
 彼は二人のその言葉に答えた。
「受けるとは聞いていたぜ。合格したっていうのもな」
「けれどそれ以上は知らなかったみてえだな」
「違うか?」
「この学校に入学したんだな」
「ああ、そうさ」
「それにだよ」
 二人は笑いながら彼に語る。
「このクラスだぜ」
「知ってたか?」
「えっ、そうなのか!?」
 それを聞いてさらに驚く顔になっていた。本当に知らなかったことがわかる。
「このクラスか」
「そうさ。ああ、来た来た」
「おい桐生」
 ここでクラスに入って来た少し背の高い少年に声をかける。すると彼の方から三人に気付いてきたのだった。彼は詰襟を行儀よく着ている。どうもこの学校では制服は各自でかなり自由に決められるようである。そうした校風なのであろうか。少なくともかなり制限はないようだ。
 黒く多い髪の毛をムースで少し上にやっている。二重の目は少し眠そうにも見えるがそれでも悪い印象は受けない。顔は整っていてやや四角い。えらも僅かにあるがそれ程目立つものではない。細身の身体で引き締まった印象を与える。それが優等生めいたものとはまた別の雰囲気を周りに見せている。そんな少年だった。
「あれっ、野茂に坂上に」
「よお」
「暫く振りだな」
 黒髪の少年は野茂と呼ばれ、茶髪の少年は坂上と呼ばれそれぞれその桐生に応えた。

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