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獣篇V
52 世にも奇妙な正統派ブラック企業と美の暴力ww
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ね。…で、その小姓は?」

_「配給係やらせてる。」

ザキが、絶賛困惑している。
えらくアメリカンなスタイルだな。

_「あのォ、あそこだけえらくニューヨークスタイルな盛り付けになってンすけどォ…。」

すみません、と山崎(ザキ)が声をかける。

_「すみません、早くカレーよそってくんない?…なに、ちょっとなにしてんの??」

税関かッ!?wwww

_「…なにィ!!?何にも持ってない、何も持ってない、っつーか、持ってないってェ!!」



ザキが大変そうだったので、彼に声をかけて私と交代させた。惨敗するザキを見ていられなかったのである。Hey, と声をかける。

_”Hey you guys, take that one for me, please.”

勿論発音もバッチリである。アメリカ英語だったのが効を奏したのか、お付きの者たちには通じたようで、おい取ってやれとテツを小突くが、テツは今も呆気に取られていて、話にならない。

_「姐さん…あなたが噂の姐さんッスか??…真選組の紅一点…類稀なる超美人と巷で噂の…??いやァ、オレも負けちゃァいられねェ。」


は?

_「…いや、何でもないッスよ…。巷では姐さん、女の子たちの間で噂が流れてるらしいッス。この間も過激派のテロリスト集団にお縄を頂戴した時の殺陣と、その美しさから噂に火が付いたらしいッス。…すいません、初対面でこんなことを言ってしまって。」

そういえばほんの一週間前くらいに鬼兵隊をパクったヘッポコテロリスト集団が江戸を占拠するぅ〜とかふざけたことをぬかしていやがったのを盛大に逮捕して来てやった、というちょっとした大事件(ハプニング)が起きていたもので。その時にちょうど副長(やつ)からの大量の書類と、晋助(だんな)と神威に対するイライラが爆発して、ちょいと本気出してやっただけでさァ。と少し沖田口調になりつつもそんなことを繰り広げていたのだが、ヘッポコどもが江戸の町でやらかしてくれたが為に、我々真選組が江戸の町で激務に追われる次第だったのである。指揮を副長(やつ)と私でしていたこと。勿論これが仇となり(?)、町中至るところの娘たちに私のことが知れ渡り、どうやら巷ですごい噂になってきる、という訳である。観察仲間曰く、「美の暴力」がすごかったそうだ。www

_「そうですか…それはありがたき幸せ。しかと胸に仕舞っておきますわ。ところで私のカレーはまだかしら?…今日は残業があって早くしなきゃいけないの。おしゃべりはまたの機会にいたしましょう?」

あ、すみませんでしたッ!という威勢のいい声と共に温かいカレーが容器に注がれる。今日は残業があるが、(いえ)に帰らねば。沙羅と双樹が待っている。あとは、甘えたさんな旦那も。
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