暁 〜小説投稿サイト〜
麗しのヴァンパイア
第百三十四話

[8]前話 [2]次話
                第百三十四話  酔いを醒まして
 スポーツドリンクを飲んでいくとだ、雪路の酔いも次第に醒めていった。カーミラはその彼女を見てまた言った。
「これでもう二日酔いにはね」
「ならないですか」
「酷くはならないでしょうね」
「ではまだ」
「明日辛いなら」
 二日酔いそれでというのだ。
「朝起きてすぐにお風呂に入ることよ」
「お風呂ですか」
「そう、お風呂に入ってね」
 そうしてというのだ。
「すっきりすることよ」
「それがいいですか」
「そうよ、それで貴女の失恋は」
「騙されていました」
 落ち込んだ顔になって俯いてだ、雪路は話した。
「私は」
「騙されていたの」
「結婚を考えていました」
 そこまで本気だったというのだ。
「ですがそれでも」
「結婚詐欺だったのかしら」
「いえ、私以外にもです」
「付き合っている人がいたのね」
「そのことがわかって」
 それでというのだ。
「さっきまで飲んでいました」
「自棄酒ね」
「忘れようと。ですが」
「お酒で失恋を癒すことは難しいわよ」
 カーミラもわかっていた、これまでの人生で。
「忘れるには思いきり泣くこともね」
「いいのですか」
「思いきり泣いて。そして難しいと言ったけれど」
 今しがたというのだ。
「飲むこともね」
「大事ですか」
「泣いて飲んで。もう徹底的に我を忘れて」
 そこまでしてというのだ。
「誰かに色々と言ってね」
「そうしてですか」
「含んでいることを捨てることよ、全部ね」
「全部ですか」
「そうすればいいのよ、含んでいることを捨てないから」
 だからだとだ、カーミラはこうも話した。
「悲しいのよ、だから今はね」
「酔いを醒ましてからですか」
「まずは寝なさい、ゆっくりとね」
 そうしろと言うのだった、そのうえでカーミラは雪路の傍にい続けるのだった。


第百三十四話   完


               2019・2・18
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ