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実はリア充
第一章

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               実はリア充
 古溝晋太郎はよくこうぼやいていた。
「俺って普通だよな」
「普通?」
「普通って何だよ」
「だから普通のな」 
 友人の横河利一、雑賀守に言う。もう一人柳川才蔵もいる。彼はクラスでいつも一緒にいる三人に話したのだ。
「高校生だよな」
「普通って何だよ」
 柳川がそのことに問うた、細い目で大柄で太った少年だ。黒髪を短くしている。
「一体」
「いや、だからな」
「普通は普通だっていうんだな」
「ああ、そうだよ」
 要するにとだ、晋太郎は柳川に答えた。見れば背は一七四位で痩せていて細面でやや切れ長の眉を目を持っている。
「要するにな」
「普通か」
「ああ、普通だろ」
 晋太郎は柳川にまた言った。
「背も一七〇センチでな」
「普通だというのだな」
「この中で一番小さいだろ」
 今ここに集まっている顔触れの中でというのだ、今彼等は横河の席の周りに集まってそのうえで話をしている。
「やっぱりな」
「俺は一七五だ」
「俺一七二だよ」
 まずは横河と雑賀が答えた。
「この前測ったらそれ位だったよ」
「俺は今年のものだ」
「僕一八〇だよ」
 最後に柳川が言った。
「この中で一番高いかな。その分体重も九十あるけれどね」
「百いかないといいだろ」
 横河は自分の席に座ったまま柳川に突っ込みを入れた。
「体重は」
「まあ百あったらちょっとね」
「御前脂肪率は幾らだ」
「二十四だよ」
「それ位なら別にな」
 太っていてもというのだ。
「いいだろ」
「そうかな」
「俺が思うにな、それで古溝」
「ああ、俺な」
「御前の背は一七〇でだな」
「顔もこんなのでな」
 普通でとというのだ。
「成績もスポーツもな」
「全部普通か」
「そうだよ、カラオケで歌ってもな」
 こちらでもというのだ。
「やっぱりな」
「得点は普通か」
「この前歌ったらどの曲もな」
 まさにだったというのだ。
「全部だったからな」
「そうか、とにかく御前はか」
「普通だろ」
 本当に何もとかもがというのだ。
「ザ=凡人っていうかな」
「リア充とは全く無縁か」
「そうだろ」
「御前の中ではそうか」
「俺の?」
「そうだ、御前の中ではな」
 あるアスキーアートの様な言葉でだ、横河は晋太郎に応えた。
「そうなのだな、しかしな」
「しかし?」
「御前はもっと自分を見詰めてみることだ」
「ああ、それな」
「僕もそう思うよ」
 雑賀も柳川もここで晋太郎に言った。
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