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渦巻く滄海 紅き空 【下】
二十三 取り違え
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直後、自分が寄生しているダンゾウの部下がぐったりしている事に、右近は気づいた。
寄生している故に身体を操れるものの、急に意識を失ったダンゾウの部下に、顔を顰める。


「安心してください。眠っているだけですよ」

巻物を片手に、朗らかに笑う相手を見やって、鬼童丸と右近は怪訝な表情を浮かべる。

「アンタは…」















ダンゾウとナルトの仲介役。
以前、ダンゾウとナルトの取り引きを目撃した故に、木ノ葉の特別上忍でありながら、【根】に所属している月光ハヤテは、苦笑いを浮かべた。

「ナルトくんからの指示を得て、急いで来たんですよ?この巻き物、便利でしょう?」


中忍第二試験の課題で使った『天の書』と『地の書』。
催眠の術式が施されているその巻き物を開けば、五日は眠り続ける羽目になる。

木ノ葉崩しが始まる前に、砂と音が密会していた夜。
自分で自分にその巻物の術を掛けた張本人は、「五日間は絶対眼が覚めない事を保証するよ」と自嘲気味に言い切った。


鬼童丸と右近・左近が天地橋に行くのは四日後。
つまり、その間は『霧の忍刀七人衆』の刀を盗んだことがバレてはならない。

だが、身体に寄生することで人質にしたダンゾウの部下の口から暴露されるのは必至。
故に、正直、刀を収集し終えた後は、ダンゾウの部下を殺すつもりだった右近は、ハヤテの巻き物によって眠った寄生主を呆れたように見やった。


「命拾いしたな、コイツ…」
「ナルトに生かされたようなもんぜよ」

眼を閉じろと、【念華微笑の術】で強く指示された事からも、巻き物を見ないようにするナルトからの配慮だろう。鬼童丸と右近まで眠ってしまっては元も子もないからだ。


「こいつ…殺さなくてもいいのかよ?」
「ナルトくんからの指示だ。その通りに従うさ」

ナルトの指示で、急いで鬼童丸と右近の許へ走ったハヤテのなんでもない口振りに、鬼童丸と右近は眉間に皺を寄せる。
ずるり…と寄生していたダンゾウの部下から抜け出した右近に、ハヤテは「早くこの場を立ち去ったほうがいい」と促した。


【念華微笑の術】で、ダンゾウの部下はその場に捨て置け、とナルトに指示されるまま、秘かに右近と鬼童丸はハヤテの先導で、水柱から離れる。

最後に一瞥するも、やはり水の柱の中にいる彼は、髪を水中で躍らせながら静かに双眸を閉ざしていた。




『水柱の彼のことはまた考える。今は自分のことを優先しろ』

最後にナルトから【念華微笑の術】で告げられる。
それきり、ナルトの声が聞こえなくなったのを合図に、鬼童丸と右近はハヤテに訊ねた。


「アンタ…やけにナルトのことを信頼している口振りだな」
「昔か
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