暁 〜小説投稿サイト〜
戦国異伝供書
第三十八話 意識する相手その二
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「ですから」
「本願寺とですか」
「和を講じましょう」
 ここはというのだ。
「そうしましょう」
「そうすればですか」
「門徒達も当家に向かってきませぬ」
「本願寺と和することが第一ですか」
「はい、そうすればです」
 それでというのだ。
「一向一揆も起きなくなり」
「戦もですね」
「しなくて済みます」
「そうですか、では」
「その様にですね」
「今度していきましょう」
 景虎は直江に確かな声で応えた。
「これからは」
「それでは」
 こうしてだった、一向一揆にどうするかは決まった、直江はすぐに本願寺の方に使者をやった。そうしてだった。
 本願寺に多額の寄進をしてそれでだった。
「以後です」
「本願寺はですか」
「当家、そして越後ではです」
「一向一揆をですね」
「起こすことはないかと」
「左様ですか」
「はい、そして」
 直江は景虎にさらに話した。
「これで西の憂いはなくなりました」
「暫くはですね」
「今後また本願寺との関係が悪くなればわかりませんが」
 当面はというのだ。
「そうなりました」
「ではその間にですね」
「門徒達を心服させましょう」
 政、それでというのだ。
「そして再び本願寺との仲が悪くなってもです」
「一揆を起こす門徒達がいない様にしていきますね」
「殿に心服していれば」 
 それでというのだ。
「あの者達もです」
「例え本願寺が言ってもですね」
「立ち上がる者は少なくなります」
「そしてそうであれば」
「本願寺も仕掛けなくなります」
「その時を得た」
「はい、彼等の心服に励みましょう」
 直江はまた景虎に話した。
「今は」
「それでは」
 景虎も頷いてだ、領内の政特に一向宗の門徒達を心服させることに専念した。その他にも着々と政を行っていたが。
 その中でだ、彼は甲斐の話を聞いて宇佐美達に言った。
「甲斐ではよくないことが起こっていますね」
「主が代わったことですか」
「はい、嫡男の太郎殿が主になられましたが」
 それでもとだ、景虎はその整った眉を曇らせて言うのだった。
「その経緯があまりに悪いです」
「お父上を追い出して主となられる」
「そのことがですね」
「はい、それは人の道に反します」
 こう言うのだった。
「不孝に他なりません」
「では殿は」
「このことで武田殿に申し上げたいと考えています」
 晴信、彼にというのだ。
「お父上への不孝であると」
「そうですか、しかしです」
「武田殿に申し上げてもですか」
「前のご当主はいささか強引な方であり」
 宇佐美が信虎のことを話した。
「人心を失っていたのは事実で」
「武田殿もですね」
「理由もなく廃嫡されるとの話がありました」
「それ故にです
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ