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閉じられた水門
第四章

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「どちらかにしても」
「こいつは何かな」
「学究の感じではなく」
「ほな官吏やな」
「そちらの感じですね」
「そやな」
 実際にというのだ。
「こいつは」
「それが悪いか」
 男の方からまた言ってきた。
「俺は子供の頃からずっと勉強ばかりしてきてだ」
「それでかいな」
「文官になろうとしていたんだ」
「文官試験に受かってか」
 十星連合にある官吏登用試験だ、高卒と大卒でまた違う試験と進路になるのは武官試験と同じだ。ただし武官つまり軍人については士官学校が存在している。
「それでか」
「そうだ、しかし落ちた。何故だ」
「そら試験は受かる時もあれば落ちる時もあるわ」
 このことについてだ、呉の返事はクールなものだった。
「落ちてそれでおかしくなったか」
「術を学んで、ですね」
「この砦占領してるか」
「その様ですね」
「これが俺の力だ」
 男は二人にまた言った。
「百人からの兵隊を操れるんだ、その俺の力がわかったか」
「この程度の力で何を言うてるんや」
 極めて冷めた目でだ、呉は男に言葉を返した。
「ほんまに」
「全くですね、百人やその辺りで」
 巴の目も冷めたものだった。
「満足しているなぞ」
「おかしくなって術をかじって何かして悦に入ってる」
「そうした輩ですね」
「ほんま小物やな」
「そうですね、ただ」 
 ここでだ、巴は呉に言った。
「その小物がです」
「?これは」
 何と壺を出してきた、そしてだった。
 狂気走った目で壺を開けた、するとそこから無数の怨霊達が出て来た。呉はその怨霊達を見て言った。
「何処でこんなん貰って来たんやろな」
「開封の何処かのお墓でしょうか」
 巴はこう言った。
「そこに忍び込んで」
「怨霊を封じてる壺を盗んでか」
「はい、そして」
 そのうえでというのだ。
「こうした時に備えていたのでしょう」
「ほんま変なことばっかりする奴やな」
「精神に異常をきたしているので」
 試験に失敗、夢に破れてというのだ。
「それで、なのでしょう」
「おかしな奴はおかしなことをするってことか」
「そうです、では」
「ああ、怨霊達を退治してな」
「そしてです」
「この馬鹿タレもな」
「何とかしましょう」
「そうするか」
 呉は巴の言葉に頷いた、そしてだった。
 二人で壺から出て来た禍々しい怨霊の一団を全て倒してだった。それから切り札である怨霊達を倒されて呆然となっている男をだった。
 あっさりと捕まえてそうして縛ってしまった、そうして水門は何なく開けて兵達も元に戻って騒動は終わった。
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