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人理を守れ、エミヤさん!
拾いすぎだ士郎くん!
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いるなと、沖田の運用法を徐々に頭の中で固めていく。
 逆ギレする沖田に呆れながら、彼女を背負う。ほらほら休め、休めと言いながら歩く。衆目に晒されながら背負われる沖田は羞恥に呻いた。なんとなく後ろから生暖かい目を向けられているのが分かるのだ。こんなおき太に誰がしたぁ、と沖田が怨嗟の声を漏らす。「そりゃあ、沖田総司が病弱な天才剣士と信じている現代日本人全員だな」と士郎は軽く答える。英霊は基本、人々の信仰の形に大小様々な影響を受ける故に。

「つまり、沖田さんの病弱っぷりは、マスターの責任という事ですね……」
「そうなるな。せめてもの誠意だ、日本人として一億分の一の責任は取ろう」
「責任感薄いですよ!? 誠意の欠片も感じられません! 断固抗議します!」
「分かった。分かったから落ち着け。暴れるなバカ」
「誰がバカですかーっ!」

 お前だお前、と士郎は投げ槍に答える。
 背中で暴れられると色々と感触がマズイ。なんとか宥め透かそうとするも、沖田は軽く興奮状態だった。最後の最後で吐血したのが相当に悔しいらしい。

「ん?」

 士郎は再び遥か前方に砂塵が上がっているのに気づいた。またかとうんざりするが、どうにも様子がおかしい。沖田は大人しくなる。マスター、またですか? そう訊ねる沖田は下ろして欲しそうだった。士郎は彼女を下ろすと、鷹の隻眼を凝らす。
 追っているのは、例の如くケルト戦士。逃げているのは――明らかに重傷を負っている民間人の御者。馬車の手綱を握り、馬に必死に鞭をやりながら逃走していた。

「……一旦止まれ」

 自身の率いる群衆を止め、士郎は嘆息した。百人そこそこの戦士が人を追っている。様子からして馬車には他にも怪我人がいるのかもしれない。

「助けに行く。ここで待っていろ。カーター、隊を纏めておけ」
「了解」

 士郎は返事が返ってくるのも待たず、身体能力を強化して駆け出している。
 また要らない苦労を増やそうとしてる……そう沖田は呆れるも、苦笑して自身のマスターを追った。この調子だと大名にでもなっちゃいそうですよと思いながら。










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