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ヒュアデスの銀狼
SS9  オオカミとかずみの決意
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『どうして、あんなことしたの?』

 コネクトを通じて、カンナがそう問いかけてきた。怒っているわけでも、冷たいわけでもなく、子供に聞くように聞いている。

「かずみの手を、キョウダイの血で汚したくなかった。」

 カズは、そう答えた。
「汚れるのは、悪者のオオカミだけでいい。」
『カズがあの場で進化した影響で、かずみの魔女化の進行がかなり進んだみたい。』
「…オレは、間違った?」
『カズは、かずみを想ってやったんでしょ? そこに間違いはない。』
「カンナ…、オレは…。」
『私の魔法なら、かずみの体を治してあげられる。もちろんカズも協力して。』
「…分かった。」
『私は、アイツら(プレイアデス聖団)に分からないよう、コネクトでかずみの様子を伺う。』
「奴らはかずみをどうする気だ?」
『相当揺れてるみたい。あっ。』
「どうしたんだ?」
『アイツら…、かずみのことを無かったことにするみたい。』
「それって…。」
『そう。かずみを処分して、またかずみを作る気だよ。懲りない奴ら。』
「そうか…。」
『そろそろアイツら全員限界が来てる。そろそろネタバレ時かもね。カズ、準備はしといてね。』
「分かった。」


 そうして、1週間……。
 かずみは、失踪当初、魔女もどきにさせられていた女刑事(※記憶操作済み)に保護され、バケツパフェを出していたあのレストランのシェフのところに身を寄せ、身を隠していた。
 遠目に見ていたが、かずみの体は、茨のような、ツルのような痣が体を蝕み始めているようだ。
 カオルは、かずみの居場所を特定していたが、誰にも言わず、こっそりとミチルが残した日記をレストランのシェフに預けていった。
 どうやら、カオルは、かずみを命がけで守るつもりらしい。
 それは…、重い真実に打ちのめされているかずみを後押しするきっかけとなる。


「そうだ、かずみ。この間、かずみによく似たお客さんが来てたよ。」
「私に?」

 発達した聴覚で、レストラン内でそんな話を切り出したシェフの言葉を聞いた。
 自分のことだ。カズはバケツパフェを食べに行った時のことを思い出す。

「男の子だったけど、かずみには兄弟はいないのか?」
「私には…。その…えっと…。」
「あ…、そうか悪かったな。そういえば、そのお客さんも言ってた。自分には兄弟はもういないって。」
「そうなんだね…。誰なんだろ?」


 気がつけば、カズは、レストランの前にて来ていた。

「うぅ…、しまった…。違う違う。オレは、別にかずみに会いに来たわけじゃなく…、バケツパフェを…。」
 悶々としながら、その場にしゃがみ込む。
 すると。

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