暁 〜小説投稿サイト〜
fate/vacant zero
誇りの在り処
[1/19]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話



「……えーっと、だな。タバサ。いま、この人のこと、なんて呼んだ?」

「ウェールズ皇太子」


 そうか、ありがとう。

 俺の耳がおかしくなったわけじゃなかったんだな。

 俺の記憶が歪んでなけりゃ、確かルイズが手紙を届ける相手もウェールズ皇太子って言うんだったよな?


 そうかい、じゃあこの空賊のカシラさん(仮)がルイズの任務の目標か。



「ちょ、ちょっと待って、待って。
 ……タバサ、それ本当?」


 何故かルイズに肩を借りているキュルケが、慌ててタバサに訊ねた。



「面影がある」

「面影って……、会ったことあるの?」


 怪訝そうに、今度はルイズが訊ねた。



「昔」


「……人違いだ。お前さん、いったい誰なんだ?
 随分けったいな格好してやがるが」

「そういえば、何故きみは仮面なんかつけているんだい?」


 カシラ(仮)とギーシュが訊ねた。

 そういやなんで仮面つけたんだろうな、タバサ。

 ギーシュの救難信号受け取ってすぐに、念のためとか言ってかぶってたけど。


 今度はタバサは口をつぐみ、カシラ(仮)の方を向いて、仮面の鼻の部分をつまんで上に持ち上げた。

 タバサの顔を直視したカシラ(仮)は目を見開くと、完全に変わった口調でタバサに問いかけた。



「……彼らは、きみの信頼を置くに値する人物かい?」


 そう問われたタバサの仮面の下の視線は、俺を通り過ぎ、キュルケで一瞬止まり、ルイズを見て、ギーシュを眺めると、ワルドを刺した。

 そして、こくりと大きめに頷く。


 ……順番と時間になんか意図はあるんだろうか。

 妄想が暴走して勢いよくローテンションに沈みそうになったけど、カシラ(仮)が発言してくれたお蔭でそれは防がれた。



「――きみたちは、アルビオンの貴族派につくつもりは?」


 首を横に振ったり、両腕を前に突き出したり、両掌を空に向け肩の辺りまで持ち上げたりして、全員がそれを否定する。



「ならば、問題はあるまい。

 そちらの三人には、窮屈な思いをさせてしまい誠に失礼をいたした。
 外国に我々の・・・味方がいるなど、思いもよらなかったのでね。

 では、改めて名乗るとしよう」


 そう言うとカシラ(仮)は、己に残された最後の変装である眼帯を外す。

 甲板へと落ちる眼帯の下からは、力強い意志のこもった瞳が現れた。



「私はアルビオン王立空軍大将、本国艦隊司令長官。
 艦隊とはいっても、すでに本艦イーグル号しか存在しない無力なものと化しているがね。
 ま、そんな肩書きよりはこちらの響きの方が
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ