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fate/vacant zero
微熱のお時間
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ルイズは、藁わらたばに座って筆ペンを持った才人を蹴倒すと、藁わらたばをまとめて廊下にほっぽり出した。


「いきなり何すんだよ?」

「わたしが忍び込んだら、困るでしょう?」


 にっこりと笑いながらルイズが言った。

 午前の授業中のことを、未だに根に持っているようだ。


 正直、廊下は勘弁して欲しいんだけどな。



「部屋の外って、風通しがいいから寒いんだけど?」

「きっと、夢の中のわたしがあっためてくれるわよ」


 ルイズに引き下がる気はないらしい。

 一度こうなったルイズは止められない、というのはもうイヤというほど身に沁みてわかっていた。

 仕方が無いか、とこの一週間たらずの出来事を書き綴ってきた、日記みたいなメモ帳みたいなよくわからない冊子と、すっかり愛用品になった筆ペンを手にし、毛布を引っかぶって廊下に出た。

 体の全部が廊下に出たとたん、背後でばたん!がちゃり、という派手な連続音がした。


 本気で締め出されたらしい。


 しかたなく、廊下の藁わらたばに座り込み、毛布にくるまって今日の日記を書いて……書いて…………書い……て。



 壁に大きくあいた窓から、風がぴゅうと吹き抜けていく。





 寒い。


 メガ寒い。


 むっちゃ寒い。


 ものごっつ寒い。


 廊下の床は石造りなもんだから、輪を掛けて寒い。



 ちゅーか冷たい。

 藁わらたばを貫通して、石の冷たさと風の寒さが尻に襲撃をかけてくる。



 歯の根があわねえ。

 毛布のあるなしなんてもう関係ない。

 ていうか、毛布のおかげで半端にぬくくて、逆に尻の寒さが際立っちまってる。


 眠れるか、こんなんで。

 3発ほどルイズの部屋のドアに蹴りをくれてみる。



 反応がねえ。ダメっぽいな。


 ああくそ、小枝でも拾ってきて、ルーンを使って暖を取るか?



 ……って、全力で握り締めながら眠るなんて器用な真似は俺には出来ん。


 ああクソ、だいたい、たかが夢ごときで締め出しまでしなくたっていいだろうに、ルイズめ。



 どうやって復讐してくれようか、と責任転嫁しながら、日記を書いて気を紛らわせる。

 だんだん寒い以外のことが頭に浮かばなくなってきたが。



 正面――キュルケの部屋のドアが、がちゃりと開いたのはちょうどその時だった。











Fate/vacant Zero

第六章 微熱のお時間







「あれ……、フレイム?」
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