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戦闘描写練習文──ラインアーク攻防──
ホワイトグリント撃破(序)
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『ミッションを連絡します』
 今回の依頼仲介者は抑揚のない女性の声だった。この声を何度か聞いたことがあるなどという関係ない感想を抱きながら彼はその通達を聞き始める。
『ラインアークの主戦力、ホワイトグリントを排除してください』
 目標はラインアークに所属する最強のネクスト、ホワイトグリント。新規開発のフレームとGAグループの新鋭兵装に身を固めた、中量二脚ACの完成形の一つ。
『ホワイトグリントのランクは9ですが、実際には、その数字よりも遥かに強力なネクストです。そうでなければ、現状況は生まれていません』
 そのネクスト自体の優秀さと、それを操るリンクスの実力が奇跡的な化学反応を起こして生まれた、企業という首輪の付いていない山猫の中で最強の単独戦力として名を馳せていた。
『たとえあなたであっても、1対1の戦いは危険です。ランク1、ステイシスと協働して、ミッションにあたってください』
 それを葬ろうとするのに同じ単独戦力を用いるのは理に叶っている。
『唯一の拠りどころたるホワイトグリントが失われれば、ラインアークの抵抗の意志は、脆くも崩れ去るでしょう』
 彼女は明るい未来を宣伝し始める。それがリンクスにとっても明るい未来であるかのように。
『そうなれば、クレイドルの憂患は一気に解決されます』
 最も、彼は楽観的な企業の予測などどうでもいいと思っていた。実際、管理者でない山猫が管理者の未来まで考えてやる必要はない。
『我々は、このミッションに最高の戦力を用意しました。あとはあなたにお任せします』
 ビデオメールを見終えた彼は、それを一度閉じると他の依頼が無いかを確かめる。時期の被る、出来ればGAかそれに準ずる勢力の依頼を期待していたのだが、彼の期待に反してそうした依頼は届いていなかった。
「……オーメルの政治力は伊達じゃないか」
 彼は勝てるどうかは別としても逃げるだけの実力はあったので、受けるのは別に構わなかった。だが、「今回も」オーメルの差し金であることは問題だ。彼はあまり特定の企業に肩入れしたくはないと考えていたのだが、最近は立て続けにオーメルの依頼を受け、BFFとGAのフラグシップAF(アームズフォート)を落としていた。ホワイトグリントがGA系列から支援を受けていることを考えれば、今回はオーメル側のこの依頼は拒否すべき物であったのだが……。
「まさか"強制出撃"依頼とは……」
 リンクス側の尻込みを意識していた彼らは、他の依頼が無い場合において拒否が不可能という、統治企業連盟にとっての鬼札を切っていた。
 この命令を避けるためだけにカラードへの参加をせず、イレギュラーや企業専属リンクスとして表舞台に出ないことを選択するリンクスも多い。かつてのオリジナルの中にもそんな選択をした人間は少なくはなかった。
 だが、首輪付き
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