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ある晴れた日に
14部分:序曲その十四
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みにしていていいのね」
「何なら御前のこと歌ってもいいぜ」
「えっ!?」
 今の言葉には目を大きく見開かせて驚く未晴であった。
「私のことを。歌うの?」
「ああ。駄目か?」
「駄目かって言われても。その」
 戸惑いながら彼に答えるのだった。
「そんな。悪いわよ、まだ知り合ってばかりだし」
「っていうか凄くない?」
「ねえ」
 その未晴の後ろで静華と凛が顔を見合わせて話をしていた。
「初対面に近い相手のことをいきなり歌にしようなんて」
「こんな奴はじめて見たわよね」
「それは。ちょっと」
「いいのか」
「え、ええ」
 少し戸惑いながら彼に答える。
「気持ちだけ。受け取っておこうかな、なんて」
「わかった。じゃあ今は止めておくな」
 これまたあっさりと引き下がる正道だった。
「けれどな。機会があれば今度な」
「私のことを歌にするのね」
「それは駄目か?」
 未晴の目をじっと見て尋ねる。
「御前さえよかったらだけれどな」
「おい、幾ら何でもそりゃ図々しいだろ?」
 春華が未晴の横から正道に言ってきた。
「音橋だったよな」
「ああ」
「なあ音の字」
 随分と古風でしかも女の子が考えたとは思えない仇名であった。春華は自分の右手を正道の机の上に置いてそのうえで彼に対してさらに言ってきた。
「それどうよ。未晴のことあまり知らねえんだろ、あんた」
「まあそうだけれどな」
 正道の方もそれは認める。
「けれど何かな」
「せめてコクってからにしろよ」
「ちょっと春華」
 彼女を止めたのは奈々瀬だった。未晴は今の言葉で完全に困惑した顔になってしまい動けなくなっていたので彼女が止めたのだった。

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