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星河の覇皇
第七十部第三章 作戦発動その二十五
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「これまでも外縁部では見られてきましたね」
「はい、常にです」
「外縁部にはそうしたコミュニティが存在してきました」
「犯罪組織が全てを牛耳る社会」
「そうしたコミュニティが」
「十九世紀の台湾ですね」
 八条はここでこの例えを出した。
「まさに」
「ローハンガーが民衆を支配していた、ですね」
「そうした存在もいた社会でしたね、当時の台湾は」
「清朝の統治があまり及ばず」
「無法地帯でしたね」
 一応清朝の領土であり官吏も派遣されていたが統治は殆どされていなかった。だから社会も法律も存在しないも同様だったのだ。
「疫病と阿片が蔓延り」
「そして無法者達が民衆を支配していた」
「そうした社会でしたね」
 当時の台湾はだ。
「自由は自由ですが」
「自由になれば、ですね」
「そうした社会になってしまいますね」
「容易に」
「言論の自由、表現の自由、信仰の自由は言うまでもありませんが」
 しかしと言う八条だった。
「法律、社会、文明によって守らえる自由でなければ」
「無政府主義では何もならない」
「そうなのですね」
「無政府主義はです」
 まさにというのだ。
「何も生まれないですし幸せにもなりません」
「果てはそうした社会ですね」
 無政府主義の行き先はだ、連合の無政府主義者達はよく完全な自由を求めて外縁部に出るが結末はそうなっているのが常だ。
「荒くれ者達がバイクで荒野を走り回り暴虐の限りを尽くす」
「弱い人達は彼等の糧となるだけ」
「そうした社会が、ですね」
「完全な自由ですね」
「人には強い法律と社会が必要です」
 全ての者が幸せに過ごす為にはというのだ。
「万民、いえ兆民がそうである為には」
「ホッブスの言う通りにですね」
「人の社会には強力な法律とそれを実行出来る政府が必要ですね」
「社会が」
「そうしたものが」
「さもないとです」
 本当にとだ、また言った八条だった。
「まさにそうした社会になります」
「ルソーは自然に帰れと言いましたが」
「階級を否定するにもそれは過激ですね」
「ルソーは法律や社会まで否定するつもりはなかったにしても」
「社会や法律は否定出来ないですね」
「人は自然に帰るとです」
 文明も捨てて、というのだ。
「やはりです」
「そうしたものになってしまいますね」
「どうしても」
「法律や社会まで否定しますと」
「そうなってしまいますね」
「はい、おそらくルソーからです」
 この思想家からというのだ。
「アナーキズムは生まれてです」
「完全な自由という言葉が誕生して」
「今も残っている」
「そうなのですね」
「そうかと、しかしその結果がです」
 外縁部についてだ、八条はまた言った。
「そうした社会です」
「守る
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