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猿顔
第三章
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 像にキリン、ライオンに虎に犀に狼に白熊にだ。ペンギンやアシカも観たし他にも色々とだった。
 動物達を観て回った、一人で気楽にそうしていった。
 周りは親子連れやカップルが多かった、だが日吉は今は人ではなく生きもの達を観ることに専念した。そうしてだった。
 ふとゴリラのコーナーの前に来た、すると。
 堀で囲まれたコーナーの中にいるゴリラ達を観ている小さな男の子がこんなことを言ったのが聞こえた。
「ゴリラって怖いよね」
「怖くないぞ」
 男の子の傍にいる大人の男性、父親と思われる人が答えた。
「全然な」
「そうなの?」
「そうだ、外見は怖いけれどな」
 男性もこのことは否定しなかった。
「けれどな」
「その実は」
「そう、違うんだ」
 そうだというのだ。
「実は凄く優しくて平和なんだぞ」
「そうなの?」
「ああ、子供や家族を凄く大事にしてな」
 そうしてというのだ。
「優しくて平和なんだぞ」
「そうなんだ」
「ああ、絶対に殴ったり蹴ったりしないんだ」
「力強そうなのに」
「確かに強いけれどな」
 力自体がというのだ。
「けれどな」
「それでもなんだ」
「その力を使わなくてな」
 そのうえでというのだ。
「優しいんだぞ」
「殴ったり蹴ったりもしなくて」
「そうだ、だから怖がることはないんだ」
 こう子供に言っていた、その話を聞いてだ。
 日吉はゴリラに興味を持った、動物園の中を一通り見て回ってから家に帰ってインターネットでゴリラのことを調べ。
 大学でも教授にゴリラのことを聞いた、すると教授もこう答えた。
「よくゴリラには凶暴というイメージがあるね」
「はい、どうしても」
「映画やアニメでもそうだね」
「あれですね、キングコング」
 日吉は古典的名作と言われているこの映画の話を出した。
「エンパイヤステートビルに登って暴れる」
「まさに凶暴なイメージだね」
「文字通りに」
「しかしそれは間違いだ」
「実は、ですか」
「ゴリラは非常に温厚な生物なのだよ」
 教授は日吉にその事実を話した。
「抵抗なぞしない」
「そうなのですか」
「確かに怪力だが」
 それでもというのだ。
「その力を使いはしない」
「自分の身を守る為に」
「そう、ゴリラを捕まえたいならだ」
 その場合はどするかもだ。教授は話した。
「棒だけでいい」
「棒、ですか」
「ゴリラは逃げることはするが」
「抵抗はしないんですね」
「そう、自分の身を守るだけだ」
「だから棒だけでいいんですか」
「自分の身を腕でガードして守る」
 それだけだというのだ。
「だからそこで捕まえればいい」
「何か犬や猫を捕まえるより簡単そうですね」
「そうなのだよ、しかもゴリラは完全なベジタリアンだ」
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