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殺し合う者達
第五章

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「客の方がな」
「悪いか」
「そんな奴が多いぜ」
 こう言うのだった。
「むしろな」
「ここは裏の店だからだな」
「だからな」
「この店の客達よりもか」
「婆さんはいい人だぜ」
 情報屋はテレサそしてマーガレットにこう話した、二人はその言葉に従ってそのうえでだった。
 裏通り、この街の裏側の世界となっているそこで占い師をしているリザードマンの老婆の店に実際に入った。
 すると怪しい感じの店だが穏やかな顔立ちでフィリピンの密林の部族の巫女の服を着ている老婆がいた。
 その老婆は二人の顔を見てすぐに言ってきた。
「わしに用があるか」
「わかるか」
「うむ、そのことはな」
「それも占い師の力か」
「おおよそのな、しかしな」
「ここから先のことはか」
「わしにしてもじゃ」
 老婆はテレサに率直な声で答えた。
「わからん」
「そうか、では最近この街で起こっている」
「殺し合いか」
 老婆はテレサの言葉に眉を顰めさせて返した。
「わしもあれはと思っておる」
「かつてこの国のある部族で使われていた術だ」
「うむ、古のな」
「そこまで知っているか」
「しかしじゃ」
「貴女はしていないか」
「わしは知っておる」
 あの術のことをというのだ。
「それでおそらくと思っておったが」
「その口調から察するにな」
「うむ、わしは人は殺めぬ」
 老婆はテレサそしてマーガレットに確かな声で答えた。
「何があろうともな」
「そうだな」
「わしは占い師じゃ」
 例え裏の世界に身を置いていようともというのだ。
「人を導くのが仕事じゃが」
「殺めるのは仕事ではないか」
「知っていても使わん」
「そうか、では知っている者は他にいるか」
「心当たりがあるわ」
 老婆はテレサに答えた。
「この街に近頃来た奴じゃが」
「近頃か」
「一見物乞いかと思っておったが」
 老婆にしてもというのだ。
「違っておった、どうもじゃ」
「あの術を知っているか」
「そうじゃ、おそらくこのフィイピンの何処かで邪法を学んでおってな」
「それで人の命を奪うことを楽しむ奴じゃ」
「そういう奴たまにおるな」
 マーガレットは老婆のその話を聞いて述べた。
「ほな」
「そいつを探し出してだ」
 テレサはマーガレットにも応えた。
「倒してだ」
「この騒動終わらせるか」
「そうする」
 こう言ってだった、二人は老婆からその物乞いと思われる者の外見を聞いた、それは一見年老いた蟹の甲殻人であった。
 街でその者を探すとだった、裏通りの路地裏の片隅にだった。
 蟹の甲殻人の物乞いがいた、テレサは物乞いにアンジェリカの指輪の力で姿を消して近寄り傍に来ると姿を現してすぐにこう言った。男を驚かせて本質を曳き立たせる為に。
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