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不幸の文
第三章
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「伝染病ではです」
「ないのう」
 碧は豪快に飲み食いしつつ美奈代に応えた。
「どうやら」
「はい、何処をどう調べても」
 美奈代は山羊人の顔でどちらかというとしょぼしょぼとした感じでうどんを食べ酒を飲んでいる。しょぼしょぼしている感じでも結構な速さで量も多めだ。
「病気ではです」
「ないけえ」
「細菌は発見されず」
「それでけえ」
 さらにというのだ。
「別におかしなところはけえ」
「なくて」
「病気はないけえ」
「はい、ですが」
 美奈代は普通の杯で飲みつつ述べた。
「おかしなことがあるのは事実」
「それじゃのう」
「これです」
 ここでだ、美奈代は碧にあるものを出した。それはというと。
 一通の手紙だった、封は開かれている。だが中身は出さずそのうえで話をするのだった。
「問題は」
「どの家にもあるのう」
「衰弱している人のお家に」
「常にあるけえ」
「手にしているだけでわかります」
 ここで美奈代は顔を強張らせて述べた。
「この手紙にはです」
「わらわも触ったが」
 喰らいながらも碧も顔を強張らせていった。
「おぞましい魔力が備わっているわ」
「私は牧童ですが」
 美奈代は自分の職業のことも話した。
「術もよく使いますし」
「というかあんたは戦闘はいつも術じゃ」
「それを使って戦うので」
 牧童は格闘は苦手だ、それで主に術を使って戦うのだ。
「術にはです」
「むしろわらわよりもじゃな」
「強く感じる様で」
 それでというのだ。
「それで最初に手にした瞬間に」
「感じたのう」
「おぞましい魔力を」
 それをというのだ。
「はっきりと」
「わらわも感じたわ」
「そうですね」
「それで手紙の中身じゃが」 
 それの話をだ、碧はした。
「お主は読んだか」
「いえ、まだ」
「わらわもじゃ」
「手にした瞬間におぞましいものを感じて」
「読まんかったのう」
「若しここで私達まで何かあれば」
 そうなってしまえばというのだ。
「今回の騒動の解決に支障が出るので」
「それじゃ、若しわらわ達に何かあれば」
 碧もいつもの明るい顔ではなく真剣な面持ちで語る。
「よくないけえ」
「はい、ですから」
「読んでないけえ」
「ですが碧さんは」
「こいつが止めんかったらのう」
 碧はここで自分の横にいる自身の神具因幡の白兎を見て言った。
「読んでいたけえ」
「そうですよね」
「わらわは直進じゃからのう」
「それは危険です」
「だから読まんかったけえ」
「正解ですね、そして」
 さらにだ、美奈代は述べた。
「この手紙の問題は郵便で送られています」
「それじゃのう」
「郵便の押し印はこの街のもの」
「差出人は不明じゃがのう」
「ですがこ
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