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離れ小島の怪
第四章

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「社を潰しました」
「そうやな、ほなな」
「この木をどけて」 
 早速だ、田中は言いつつだった。
 木をどけた、それからだった。
 自分の手で社を修理した、樵であり木を使う仕事は得意だ。大工ではないがそうしたことは彼も得意でだ。
 社を修理した、周りの木も使ってそうしてだった。
 社を修理し神官のところに戻ってそのうえでことの次第を話した、そうして彼を社のところに連れて来てだ。
 あらためて供養等をしてもらった、その後で神官と三人で社にお握りを供えて自分達も食べた。だが。
 もう鼠達は出なかった、それで二人共だった。
 神官と共にほっとした、島の者達にもこのことを話して食べる様に言うと彼等も無事に食べることが出来た。
 こうして島の怪異は終わり二人は島を後にすることにした、その前に二人で親父の親子丼を本当にいただくと共にだった。
 その他にもうどんやそうしたものを食べ酒も頼んで仕事が終わった祝をしていた、その時にだった。
 田中の手にあるものが宿った、それは何かというと。
「房州鋸です」
「ああ、木造船用のか」
「その中でも逸品中の逸品で」
 それでというのだ。
「とりわけです」
「切れ味がええか」
「強力な神の力が宿っていて」
 それでというのだ。
「あらゆるものを切ります」
「そうした鋸か」
「はい、この鋸は」
「またしても凄いもんが手に入ったな」
 その話を聞いてだった、川端は述べた。
「自分らしい木を切る道具でな」
「武器にも使えて」
「木を切ることにな」
「最高の力を発揮してくれます」
「まさに林業の為の神具やな」
「そして神託を乗り越えて」
 そうしてとだ、田中はさらに話した。
「僕自身も全体的に強くなりました」
「一皮剥けた感じやな」
「まさに」
「そうか、ほなその新たな力でな」
「これからもです」
「世界を救っていくな」
「そうします」
 確かな声でだった、田中は川端に答えた。そうして新たな力と共に次に行くべきその場所に向かうのだった。


離れ小島の怪   完


                 2019・3・17
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