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徒然草
79部分:七十九.何事も

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七十九.何事も

七十九.何事も
 物事に関してですが何事についても素人のふりをしていることがいいのです。知識を持っている人であれば自分の専門だからといってそれで得意げな顔で語ることもないのです。むしろ中途半端な田舎者に限ってあらゆる分野や方面において何でもかんでも知ったかぶりをするものです。それを聞いていますと聞いているこちらの方が恥ずかしくなってくるような話しぶりでありますがそういった人に限って自分のことを偉いと勘違いしていますから余計にたちが悪いものであります。
 自分が詳しい分野や方面のことに関しては用心してあまり多くは語らずそれで相手から何か質問されるまでは黙っているのに越したことはありません。
 要するに沈黙は金だということなのです。知っているからといってもあまり喋らない、多くを語らない、そうあるべきなのです。それで何かを語ればそこから自分の器を見せてしまうことにもなってしまいます。何も器の小ささを他人に見せることはありません。ですから多くは語らない、あえてそうあるべきなのです。とはいっても黙っていることもこれはこれで難しいことではありますけれど。それでもやはり黙っていることなのです。それが自分の為なのですから。例え難しいにしろ、です。


何事も   完


                  2009・8・1

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