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麗しのヴァンパイア
第百二十話

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               第百二十話  飲みながら話す
 小田切君は酒は濁酒、肴は梅を出した。そうして甘い濁酒と酸っぱい梅の両方を楽しみつつタロとライゾウに言った。
「今日博士から文学の話を聞いたけれど」
「ああ、博士ってどんな学問にも興味あるからな」
「文学にもなんだよね」
 二匹も小田切君に答えた、小田切君の飲み食いを見ながら。
「日本だけじゃなくて海外の文学に詳しいよ」
「それも全般的にな」
「もうそれこそ古今東西のに詳しいから」
「話していて凄いだろ」
「うん、それで博士が言われるには」
 小田切君は湯飲みに濁酒を入れつつ話した。
「小説とかは完結しないと駄目だって言ってたよ」
「ああ、博士って兵器もそうだよな」
 ライゾウは小田切君の言葉に右の前足を出して応えた。
「絶対に完成させるよな」
「小説でも絵でも彫刻でもね」
「完成させないと、ってか」
「言ってたよ」
「それな、博士のこだわりだろうな」
「僕もそう思うよ、博士ってこだわりの人だから」
 タロも小田切君に話した。
「それでね」
「完成させないとだね」
「駄目だって言うんだよ」
 こう小田切君に話した。
「本当にこだわってね」
「それでだね」
「それで今日小田切君にも話してたんだ」
「コーヒーとマカロン楽しみながらね」 
 小田切君はその時に博士と一緒に飲んで食べたものの話もした。
「そうしながらね」
「そうだったんだ」
「とにかく完結にこだわっていたよ」
「小説についても他の分野でも」
「そう、完結させないと命は宿らない」
 博士のこの言葉も出した。
「そう言ってたよ」
「命が宿る、だね」
「生きものは生まれた時に命が宿って」
「作品は完結したら命が宿る」
「だから一旦小説を書いたら」
 その時はとだ、小田切君は濁酒をさらに飲みつつ話した。
「作者は絶対に作品を完結させないといけないってね」
「それそうそう出来るかな」
「難しいけれどしないといけないってね」
「博士は言ってたんだね」
「そうなんだ」
 小田切君は梅干しも食べた、その酸っぱさが酒を飲みたくさせる。
 そうしてさらに飲みつつだ、二匹にさらに話していった。


第百二十話   完


                2019・1・2
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