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=病院編= アコンプレスセレクト
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たくないと思えるほどに、彼女は純粋で無垢で、決して無知ではない包容力があった。

「佐栗……」
「……なんだい」
「俺はこれからもアンタを許せねぇ。でもこの個性は俺の目的のために使わせて貰う。俺が個性を使えば使うほど彼女は眼を覚ましていくんだろ?」
「おそらくは、ね」
「これから俺はどんどん社会の闇に足を突っ込んでいく。利用できるものは何だって利用する。あんたも利用させて貰う。断るとは言わせねぇぞ」
「……君は優しいね、水落石くん」
「この子を目覚めさせるという執念にだけは敬意を表してやるよ。佐栗。話は後で」

 彼女をベッドに寝かせ、カルテの診断結果を奪い取って俺は部屋を後にした。

 思うことは沢山あった。怒りも全て収まった訳ではない。
 ただ、誰にも言えない俺の目的を理解し、応援してくれると言ってくれたあの子とめぐり合わせてくれた事は、きっと俺にとって救いだったのだろう。心に背負った重みが、少しだけ減った気がした。
 病室を出て、振り返る。彼女の名前は「神路(かむろ)みこと」。
 彼女と接触したときに彼女のことも俺に伝わってきた。

 ミッドナイトが出てきた俺に気付いて近づいてきた頃には、俺は元通りの顔と態度になっていた。


 その日から、俺と佐栗の個性考察とみこととの交流が始まった。

「俺は俺の目標の為にお前を利用する」
『私は君の生存の為に裏で君の援助をする。ついでにみことと話してやってくれ』
『病院食にピーマン。にがにが。佐栗くんもピーマン嫌いだったのに、大人になって食べられるのずるいと思います』
「ほのぼのかつフリーダムッ!!」

 シリアスブレイカーみことである。



 = =



「――で、結局個性検査結果はどうだったんだ?」

 体育祭後、少し雰囲気の変わった轟の質問に、俺は予め考えておいた回答を繰り出す。

「能力強化は暴走を乗り越えてコントロールできるようになったんだが、個性検査の結果はハッキリしねぇ。ただ検証してみた所、あの身体能力強化と従来のカンの良さは競合しないらしい。同時に行使できない訳だ。この事実を踏まえ――」

 耳を傾けている葉隠と常闇の方にもちらっと視線を送る。

「個性の大本はかなり漠然とした『超常』で、その具現化の仕方が複数あるんじゃねえかって話になった。とりあえず今、カンの良さと身体強化は切り替えられるようになった。ただ、俺の個性は多分フルで使うと肉体が耐えきれないから一度に一側面しか発動させられねぇんだと思う。次の暴走がねぇように医者の指導のもと色々準備してるよ」
「……まるで個性特異点だな」

 轟があまり聞き慣れない言葉を発する。
 俺の疑問を代弁するように葉隠が問うた。

「なにそれ?」
「終末論の
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