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徒然草
222部分:二百二十二.竹谷乗願房

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二百二十二.竹谷乗願房

                二百二十二.竹谷乗願房
 山科の竹谷乗願房殿が東二乗院の元へ参上した時のことであります。東二乗院が竹谷乗願房に死んだ人に何かをしてあげたいのですがどうしたらよいのでしょうかと尋ねてきました。すると竹谷乗願房殿は光明真言、ほうきょういんだらに、と唱えなさいと答えました。それを聞いた弟子達が彼に対してどうしてあんなことを仰ったのですか。何故念仏が最も尊いと仰らなかったのですかと尋ねました。すると乗願房殿は自分の宗派のことですから軽々しいことを言えたのです。軽々しく南無阿弥陀仏と唱えれば死者に対して利益があると書いた文献を読んだことがありません、万が一根拠を問われたら困ると思ってそれで一応経典にも書いてあるこの言葉を申したのです、と答えました。
 何につけてもまずは根拠であります。根拠のないことをしても動いても何にもなりません。それで責められてはお話にもなりません。ですからこの乗願房殿はまことに慎重でかつ分別が判っておられるといえます。そのうえでしっかりと動いておられます。そのことをよくわからせてくれるお話であります。根拠のないことを教えるというのはよくないことであります。それは一歩間違えればまやかしと思われてしまいます。自分からそう思われるようなことはしないに限ります。


竹谷乗願房   完


               2009・12・22

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