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人理を守れ、エミヤさん!
名探偵士郎くん!
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つまり。この特異点での戦いでは、敵は正面からしか戦わないという事ですね」
「そうだ。真っ向切ってこっちと戦い、その上でなんらかの『奇襲』を掛けてくる。ランサー、敵を正面から打ち砕くのはお前の力が恃みだ。頼むぞ」
「は、任せろ。元々細かい計算を正面から突き破るのは得意分野だ。横合いから殴り付けてくる手合いはマスターに任せるぜ」
「――まあ、俺達に来るんならな……」

 そこで不意に、歯切れ悪く士郎は濁した。
 アイリスフィールが目敏く問う。

「どうかしたの? 何か気になるのかしら」
「……どうも腑に落ちないんだ。『奴』の手口は全部把握した。だからその『奇襲』の矛先がどこに向かうかも分かる。分かるんだが……」

 そう、分かるからこその困惑だ。基本に忠実、そして徹底的に手加減も容赦もなく磐石な手を打つ策士。そんな奴が正面から戦った後に『奇襲』するとしたら、それは――後方拠点(・・・・)でしかない。
 士郎達の後方拠点……それはカルデアだ。そこに奇襲を仕掛ける? そんなもの、出来るなら今ごろカルデアは全ての魔神柱や、手駒としたサーヴァントが多数襲撃してきているはずである。
 カルデアは特異な力場で守られ、ある種の特異点となっている。人理焼却の黒幕、『魔術王』を騙る存在がカルデアの座標を把握しているなら、放置する理由は有り得ない。

 故に不可解なのだ。

「ロマニ……レオナルド、カルデアの防備を最大限固めろ。アタランテと切……アサシンの再召喚を急げ。それからアルトリア、悪いが退去してカルデアに戻ってくれ」
「シロウ?! な、何故ですか?」
『? 士郎くん、カルデアは今のところ安全なんだけど?』
「いいから。杞憂だったらいい。ヘクトールが敵ではないかもしれないなら、アルトリアとオルタを揃えて置いておく必要はない。頼む」

 士郎の唐突な要請で場に奇妙な沈黙が落ちる。
 レオナルドとアグラヴェインは士郎の懸念に思い至るも半信半疑だ。
 最初に応じたのは、士郎を信頼する男だった。

『……分かった準備しておく。それでいいね?』
『ロマニ?』
「すまん、頼んだ」
『いいさ。士郎くん達が不安なく安心して戦えるようにする、それが後方支援するボクらの役割だからね』

 ロマニの返答に、士郎は救われたように安堵の吐息を溢した。
 『ただしそれが杞憂で、無駄に戦力を分散しただけだったら、後で徒労のツケを払ってもらうけどね?』そんなロマニの軽口に士郎は苦笑する。ああ普通に外れてくれたなら、それはそれで何も構わない。なんでもは言い過ぎだが出来る限りの事はさせてもらうさ、と。
 ロマニは胸を叩く。彼は魔術王のデミ・サーヴァントだ。

『カルデアはボクが……私が守る。だから安心してくれ』
「ああ。信頼してる」


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