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徒然草
209部分:二百九.人の田を論ずる者

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二百九.人の田を論ずる者

               二百九.人の田を論ずる者
 他の人の田を自分のものであると主張して訴えを起こしていた人がいましたがその人は結局お沙汰の場において敗れてしまいました。それでその悔しさのあまりその自分のものだと主張していた田を収穫前に全て刈り取ってしまえと自分の召使に対して命じました。するとその召使は手当たり次第にその通り道にある田を刈りながら進みますのでその人はここは訴えで負けた田ではないのにどうしてこんなに無茶なことをするのだとその召使に対して尋ねました。するとその召使は訴えで負けた田であっても刈り取っていいという理由はありませんがどうせ悪事を働きに来たのですからもうこうなったら手当たり次第に刈り取ってしまっているのです、と言いました。
 この屁理屈も一理あるでしょうか。どうせ悪事をやるのなら徹底的にです。もうやるところまでやってしまわないと気持ちのいいものではありません。それでこの召使はここまでやったのでしょう。ある意味において正しくはあります。この人は随分と無体な人物でありますが召使はそれなりにわかっています。少なくとも悪事を悪事とわかっていてそれであえてこうしたことをしたのです。この主人にとっては過ぎた召使と言うべきでしょうか。一見無体ですが実は道理のわかっている召使です。


人の田を論ずる者   完


                2009・12・9

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