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人理を守れ、エミヤさん!
何度でも蘇る士郎くん!
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引く者なり」

 ヘラクレスではない。神の血を否定し、神性とそれに由来する不死性、無双の怪力を捨てた。
 此処にいるのは人間だ。人間が持ち得る復讐心の塊である。――そう謳う復讐者へ、失笑を浴びせたのは誇り高き光の御子だった。

「莫迦が。己の生まれすら否定するとは、人間としても下の下だぜ。戦士の風上にも置けねぇ」
「囀ずるな、光の御子。神に列なる貴様を視界に入れる事すら不快だ」
「は、よく言った。テメェには言葉を交わす時間すら勿体ねぇ。――殺す」
「此処が貴様の死地だ、復讐者よ」

 クー・フーリンが魔槍を構える。アルトリアとオルタが聖剣に更なる魔力を充填した。
 先程の聖剣の真名解放は、士郎が近くにいたが故にカルデアからの魔力供給で捻出出来たもの。だが今はサーヴァントの楔であるマスターから離れ過ぎている。故にカルデアからの供給は困難だが、アルトリアとオルタは自前の魔力を割いてでも確実に仕留める気概でいた。それはクー・フーリンも例外でない。

 アタランテが言った。

「奴の被る裘はネメアの獅子の毛皮だ。人理を弾くそれは、人造の武器では歯が立たない」
「だが聖剣なら通る」
「オレの槍もな。神獣から削り出された槍だぜ」

 オルタとクー・フーリンは素っ気ない。殺意の全てが復讐者に向けられ――アルケイデスは悪意も露に嘲笑する。

「余り強い言葉を使うな――弱く見えてしまう」

 その嘲りが第二ラウンドの開始を告げる号砲となる。
 飛来したアタランテと赤い外套の弓兵の矢を獣布が弾き、馳せる英雄らに向けてアルケイデスは卑劣に笑んだ。

「――余程あの男が大事らしいな。気を付けろ、私はあの男を重点的に狙うぞ」

 火に油を注ぐ発言が、三騎の英雄達を更に深く激怒させた。

 激戦の序章はそうして幕を上げたのである。







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