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徒然草
186部分:百八十六.吉田と申す馬乗り

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百八十六.吉田と申す馬乗り

               百八十六.吉田と申す馬乗り
 吉田何とかという、下の名前は忘れましたがそう名乗っていた馬乗りが馬はどれも人間の手に余ります、人の力では馬には到底敵わないと知っておくべきだ。はじめにこれから乗る馬をよく察してその強い部分と弱い部分を知る必要がある、次に轡や鞍といった馬具に心配な点があってそれが気になるようであるならばその馬を走らせてはらなない、こうした用心を忘れない人を馬乗りと呼ぶ、これは馬を乗るにあたって重要な秘訣であります、と言っていました。
 つまり過信はするなということなのでしょう。人間がどれだけ偉く馬に乗っているとしても結局は馬の方が力は強いものです。その力の前には人は無力であります。何も知らないで乗るようなことはやはり愚かなことなのです。ましてやこれから乗る馬について何も学ばずその馬具についても点検をせずに乗るようであっては馬に乗る資格がないと言わざるを得ないでしょう。馬に乗るにあたっても細心の注意が必要なのであります。用心を怠ってはそれだけで馬に乗る資格はないのです。それから怪我をしても愚かなことと言われてそれで終わりであります。まずは馬について知ること、馬具をよく見ておくこと、そうしたことをしてから乗るべきものであります。


吉田と申す馬乗り   完


                2009・11・16

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