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人理を守れ、エミヤさん!
「その一撃は」
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反応したのは最初のみ。続いた報告に士郎達は顔を険しくさせ、アタランテの案内でドレイクらの元へ急行した。
 海賊達は突然姿を現した士郎達に驚愕しつつ、即座に臨戦態勢に入った。全員が大なり小なり負傷している。それでも戦意を失わず、咄嗟に上座に背を預け、こちらを見据える女海賊を守るように身構えていた。
 黒髭を見るなり敵意を露にする。士郎にとっては意味はないが、腰のベルトに吊るしていた干将莫耶を彼らの前方に投げ捨てた。敵意はないと手振りで示す。黒髭は俺達が制圧し、傘下に加えている。故にこの男もお前達の敵ではないと、流暢な英語で語り掛けた。

 音声の同時翻訳はカルデアの技術で可能だが、敢えてこの時はそれをしない。海賊達はそれでも武器を下ろさなかった。
 テメェら何モンだ! 荒い語調の誰何には、追い詰められた手負いの獣じみた凄みがある。しかしそんな彼らに、右腕に添え木をした女傑が言った。その左目は濁っている。

「やめな。今のアタシらが事を構えたって、いいように料理されるのが関の山さね。大体殺す気で来たんなら、今のアタシらは隙だらけ、奇襲一発で昇天しちまう。それに――見たところかなりの戦士揃いだ、そんな道理弁えてんだろう?」

 格好もキテレツで時代錯誤な連中もいる。大方アンタらも、あの化けモンとおんなじ感じの奴らに決まってるよ。

 不意の出会いにも関わらず、曇りを知らないドレイクの慧眼に士郎は確信する。なるほど傑物だと。士郎は代表して(・・・・)名乗った。カルデアの者だ、と。時計塔の天文科のロード、アニムスフィア家は十六世紀でも活動していた。
 海賊は職業柄、天文とは切っても切れない。アニムスフィアは知らずとも、カルデアについては知っていよう。案の定、ドレイクは顔を顰めた。

「カルデアぁ? 星見屋が何の用だい? 新しい星図でも売りつけにきたとか?」

 そんな訳がないだろうと苦笑する。ただの星見屋が、こんな戦力を連れてる訳がない。ドレイクもただの冗談だったのだろう、鼻で笑った。
 士郎達は軽く自己紹介をし、自分達の事情を語る。荒唐無稽だろう、しかし実際にサーヴァントと交戦している彼女は容易く信じた。人間を超えた存在を、文字通り痛いほど痛感している。

「で、そんなアホらしいほどデカイ話を持ってきて、アタシに何をして欲しいんだい?」

 戦力は少しでも多いに越した事はない。あんた達の協力が欲しい。士郎がそう言うと海賊相手にただで働けってのかい、とドレイクは失笑する。

『――マスター』

 頃合いを見計らっていたのか不意に鋼鉄の声が響く。カルデアの管制室からの通信、アグラヴェインだ。何処からともなく届いた声に、海賊達とドレイクを眼を見開いた。
 なんだ、と応じる士郎に、鉄の宰相は言う。

『聖杯の反応があ
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