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慣れない仕事
第三章

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「そうしています」
「そうでしたか」
「幸い事業は成功していて」
「お金はありますか」
「左様です」
「それはいいことですね」
「今は若旦那様、お嬢様のお兄様が経営をされています」
 執事は喜久子にこのことも話した、見れば喜久子もワンタン麺一杯とフェアリーとしては結構食べていて太宰もラーメンと焼き餃子に炒飯を食べている。ただし少女が食べている量は二人とは比較にならないまでに多い。
 チャーシュー面に水餃子、中華丼に八宝菜、ニラレバ炒めに唐揚げ、ピータンにかに玉そしてさらに注文しそうな勢いだ。
 その少女を見つつだ、執事は二人に話すのだった。
「ですが近頃」
「お嬢さんのことで」
「はい、お嬢様は非常にいい方ですが」
「お食事を」
「この通り朝も昼も夜もです」
「私はいつも何かを口にしていませんと」
 言いつつだ、少女は食べ続けていた。
「とにかくです」
「身体がもたないと言われています」
「そうですか」
「それで若旦那様もです」
 彼女の兄もというのだ。
「心配されて」
「お食事をですか」
「止める様に言われています」
「そうですか、では」
「それではですか」
「少しです」
 一旦時間を置いて考えてからだ、喜久子は執事に答えた。
「お嬢さんのお食事の状況をです」
「そのことをですか」
「調べさせてくれますか」
「そうしてですか」
「少し考えさせて下さい」
「あの、私は」
 今度はチンジャオロースを食べながらだ、少女は喜久子に言った。食べる量も速さもかなりだが食事のマナーはいい。
「食べることは」
「止められないですか」
「それは」
「そうですか」
「食べないと身体がもたず」
 そうしてというのだ。
「考えることも」
「ですがお嬢様それ以上です」
 太ると、とだ。執事も話した。
「危険ですので」
「ですがそれでもです」
「まあ今はです」
 喜久子は二人の間に入って述べた。
「お話をじっくりと聞かせて下さい」
「それでは」 
 執事は喜久子の言葉に頷いた、そうして彼女と太宰を少女が家族や使用人達と共に住んでいる舞鶴の郊外にある白亜の洋館に案内した。洋館は外装も見事だったが内装もそうだった。
 洋風の見事なものだ、家具も趣味がよく気品の良さを感じさせた。
 そこで執事から少女と一緒に彼女の話を詳しく聞くとだった。
「ご幼少の頃からですね」
「食べることが大好きで」
「お菓子もですか」
「大好きでして」
 それでというのだ。
「お身体はその頃から」
「そうですか」
「今もです、ただ」
「はい、学業と運動はですね」
「お嫌いではなく」
 それでというのだ。
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