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徒然草
174部分:百七十四.小鷹によき犬

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百七十四.小鷹によき犬

               百七十四.小鷹によき犬
 雀狩りに向いている犬を雉狩りに使いますとその犬はもう二度と雀狩りに使えなくなってしまうと言われています。大物を知ってしまうと小物にはもう目もくれなくなってしまうということはもっともなことであります。世間にはやるべきことがそれこそ山の様にありますが仏の道に身を委ねることよりも心が満たされることはありません。これは一生で最も大切なことであります。一旦仏の道に足を踏み入れたならばこの道を進んでいく人は何もかもを捨てることができますし何かをはじめることもありません。どんな頭のよくない人だとしても賢い犬の志に劣るということがあるでしょうか。
 ですから大きな志、即ち仏門に入るべきなのです。人はそれを歩むことによって実に大きな有り難いものを見てそのうえで進んでいくことができます。それを気付かない人も多いのですが気付いてしまうとそれではじまります。道がはじまればもう怖いものはありませんし恐れるものもありません。大道を歩いていけるのです。犬ですら大きなものを知ってしまえばそれに向かっていくだけで小さなものには目もくれなくなってしまいます。その雀と雉の話こそがまさにそれです。ですから目を仏門に向けるべきです。そうすれば人として大道を歩くことができます。ですから仏を知ることからはじめるべきです。


小鷹によき犬   完


                2009・11・4

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