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【ユア・ブラッド・マイン】〜凍てついた夏の記憶〜
滴る氷柱
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 鉄脈学実践授業はけが人を出すことなく終了した。
 しかし、大きすぎる力は人間の見方を変える。

「あたしさぁ……ちょっと軍属とか憧れはないでもなかったんだよね。パパとママはいい顔しなかったけど」
「へー、いいパパママじゃん?エデンちゃんのこと心配してるってことでしょ〜?」
「まぁそうなんだけど」

 更衣室で着替えながら、美杏か美音か見分けのつかないどっちかの言葉に同意しつつエデンはため息をつく。朧は巫女服のまま訓練に参加していたので着替えずそのまま戻り、あざねもメイド服なので着替えの必要はないが八千夜のそばに控えていた。
 
「今日の授業でさー、その憧れが遠のいた気がするなぁ」
「えー、何でー?スゴかったじゃんみんな!エデンとエイジのは綺麗な氷だったし、天馬(まー)くんと朧ちゃんのはスッゴイ早かったし、八千夜(やっちー)もなんか色々スゴかったしさー。あ、もちろんウチらジェミニ☆プリティ?シスターズも――」
「凄かったけどさ。一つ一つ見るたびに思っちゃうのよ。アレ当たったら死ぬなーって」
「あー、それね……それはもうしょうがないと思うよ。加護あっても無理なときは無理だろうし」
「うん。ムリ。特に八千夜ちゃんの爪とか、見てるだけで怖かったよ」
「……ごめんなさい。私の見た世界は、そういう歪みを内包しているの」

 申し訳なさそうに八千夜が謝った。
 その八千夜の隣で控えるあざねは、何を思っているのか目を伏せて何も語らない。
 彼女はエデンなんかよりよほど深く、いや、恐らく世界で一番彼女の根底にある世界のことを知っている。もしかしたら言いたいこともあるのかもしれない。変な気の遣わせ方をしちゃったな、とエデンは内心で迂闊な自分を恥じた。

「術の発動時は半ば別人格のようになってしまうのです。なんといえばいいか……心の中で、狂暴な自分の部分以外に蓋をされ、抑制が効かなくなる。特に嫌いな臭いの相手には見境がない。だからリック先生に叩きのめされて術を解除した後、とても安心しました」
「マゾに目覚めたと」
「美杏、いま真面目な話」
「そういった性的嗜好はありません。そうではなく、リック先生なら私が暴走しても苦も無く止められると確信できたからです。とはいえ、攻撃しないと言い切れるのは浜丘さん以外の魔女と氷室くん、そして隔絶した実力があるトラヴィス両先生のみですが」
「あ、そこ永海ちゃん攻撃対象に入っちゃうんだ」

 確かに当人、心は男みたいなことをよく言っているので不思議ではない。

「まぁ確かに攻撃されると思ったら怖いよ。一撃で殺されちゃいそう。でもそうなると多分エイジが身を挺して守っちゃうと思うんだよね……それで、私のせいでエイジが苦しむのが、すごく嫌だなって思うと……エイジを戦いの場に連れていっちゃダメな
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