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星河の覇皇
第七十部第一章 外縁部の賊その三十二

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「強制収容所に送ったり死刑にしてでも」
「問答無用で弾圧しますからね」
「そうした国だとな」
 それこそというのだ。
「ヤクザもいないさ」
「国家権力で潰すから」
「だからですね」
「余裕がないうえに」
「独裁者の邪魔だから」
「だからいないんだよ」 
 そうした国ではというのだ。
「完全って言っていい位にな」
「ヤクザがいないことはいいことですけれど」
「何か独裁国家の方がまずいんじゃ」
「だよな、それこそな」
「国家自体がヤクザっていうか」
「かもな、ナチスなんてな」
 曹長は今度はこの独裁国家について言及した。
「ソ連もだったけれどな」
「やっぱりヤクザいなかったんですね」
「どっちも」
「犯罪も少なかったぞ」
 ナチスもソ連もというのだ。
「どっちもな」
「それはいいことですね」
「犯罪者がいないことも」
「けれど、ですよね」
「それで終わりじゃないですよね」
「もっとまずいことありましたよね」
「ああ、そうだった」
 うまい話には裏があるという訳ではないが実際にそうだったとだ、曹長はここまでくるとそうしたことも既にわかるようになっていた兵士達に話した。
「ヤクザも犯罪者もいなくなったがな」
「もっと厄介な連中がトップだった」
「そういうことですね」
「ナチスはヒトラーですよね」
「ソ連はスターリンですね」
「そうした連中がトップだったからな」
 それも独裁者だったのだ。
「それに秘密警察もあったからな」
「ゲシュタポですか」
「あとKGBですね」
「その連中がいたからな」 
 ヤクザや犯罪者は徹底的に取り締まられていたがというのだ。
「もっと悪かったかもな」
「まだヤクザがいる社会の方がましですか」
「戦争があったり独裁国家であるよりも」
「まだですね」
「ましなんですね」
「そうかもな」
 曹長も考える顔で言った。
「俺もそう思う」
「かも知れないですね」
「俺達もそう思えてきました」
「繁華街行くとよく見ますけれど」
「それで早くいなくなれって思いますけれど」
「平和で自由だとな」
 そして豊かならというのだ。
「変な奴が出てもな」
「それでもですね」
「戦争がある国よりずっとましですね」
「独裁国家よりも」
「いいんですね」
「そう思うな、俺の国はミラーフだったがな」
 かつてサハラ北方で最も軍事力の高い国だった、だがエウロパに滅ぼされてしまった。それも一回の会戦でそうなった。
「独裁国家でな」
「ああ、ミラーフはそうでしたね」
「国民皆兵みたいな国だったんですよね」
「そうでしたよね」
「もう言論の自由とかな」
 それこそだったという言葉だった。
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