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人理を守れ、エミヤさん!
士郎くんの足跡(後)
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 想定外な事ばかりだった。

 セイバー、アーチャー、ライダーは自陣営。アサシンは倒した故に、後はバーサーカー、キャスター、ランサーが健在だ。しかしアーチャーという、前回の聖杯戦争に参加していた輩がいた。それはキャスターに倒されたようだが、それこそが厄介だったのだ。
 セイバーが云うには、あのアーチャーは断じて与し易い敵ではなかったという。前回の聖杯戦争で最も強大であり、セイバーも勝てなかったほどである。

 それが倒された。

 バーサーカーの強さもそうだが、キャスターもまた得体が知れない。後は数で潰す、なんて真似は通じないのだ。可能ならバーサーカーを味方につけ、欲を言えばランサーも引き込みキャスターを排除してしまいたいが、それは不可能だろう。
 そして士郎にとって最も大きな衝撃となったのはイリヤスフィールの存在である。切嗣の事は置いておくとしても、あれほど錯乱していたイリヤスフィールだ。気に掛けるなという方が無理な話であり、士郎はイリヤスフィールをどうすればいいのか考え続けた。

 しかし時間は待ってくれない。そして誰も士郎の迷いを考慮してはくれない。動き出した時間の針は、決して止まらない。時間は巻き戻らない。
 既に賽は投げられている。奈落へと駆け落ちていくのみ――

 アーチャーが復帰した。

 不自然なほどライダーは弱い。そしてセイバーとアーチャーが揃っていても、バーサーカーは打倒困難な難敵である。そしてキャスターもまた、戦って倒さねばならない存在だ。万全を期し士郎達三人のマスターと、三騎のサーヴァントは常に行動を共にする事になった。
 街中と言わず、冬木中を散策する。敵を求めての事ではない。いや見つければ戦闘は避けられないだろうが、それよりも僅かな希望を繋げる代案が必要だった。
 そして見つけた。ランサーだ。教会の付近に来ると姿を現した。戦闘になる。キャスターやバーサーカーを打倒する共同戦線を提案したが、考える素振りすらなく一蹴された。

 以前ランサーはアーチャーとほぼ互角の戦いを繰り広げた。そしてセイバーとの初戦では圧倒されていた。勝てない敵ではない――そんな甘い見立ては、全力を発揮したランサーの前に霧散させられる。
 速い、只管に迅い。バーサーカーを超える敏捷性と、初動からの最大速度。目で捉える事すら儘ならず、三騎で掛かっても苦戦を強いられた。辛うじて追い込むも、そこからの粘り強さは異様なほどであり、後一歩の所まで追い詰めてもその度に仕切り直され、遂には離脱された。

『――これほどの、者か。アイルランドの光の御子は』

「そんなもんじゃなかったろ? アーチャー」
「……」

 クー・フーリンの揶揄がエミヤに飛び、とうのエミヤは苦々しそうに顔を顰めた。カルデアの光の御子な
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