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人理を守れ、エミヤさん!
幕間の物語「いつかどこかの時間軸」4
戦後処理だねカルデアさん!
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う。その願いを、無色の聖杯が汲み上げてしまったのだ。特異点から退去する士郎らと共に、カルデアに現れたのはそれが原因である。万能の願望器は、事実万能であったからこその事故だった。

 アグラヴェインは厳つい顔を一層厳つく顰め、こめかみを揉んでいた。

「どうする。我らに子守りをしている暇はない。そしてカルデアに来てしまった以上、放逐する場もない。冬木の変異特異点は消え去ったのだぞ」
「あんな幼子を放逐なんて、誰も認めないだろうけどねぇ……」
「というか士郎くんの前でそんな事言っちゃ駄目だからね。激怒不可避だよ」

 やんわりと、合理性を突き詰めた発言をするアグラヴェインを窘めるロマニ。今の彼は白衣で、人間としての姿だ。
 桜は士郎の横に付き添っている。食事、入浴、トイレの時以外は、片時も離れようとしない。無言で、感情の薄い貌が男を見詰めている。小さな手が、男の分厚い手を掴んでいた。

「あれ、どう見ても依存してるよね……」

 ダ・ヴィンチは嘆息して髪を掻き上げる。

「曲がりなりにも心を開くのは、士郎くんを除けばロマニとマシュだけ。他の誰かは近づくだけで怖がる。士郎くんが地獄から救ってくれた、救ってくれた時に士郎くんの傍にいた、だから君達しか信じてない。――よろしくない状態だ」
「それだけならまだマシだ」

 アグラヴェインは苦々しく吐き捨てる。それは何も、桜を毛嫌いしてのものではない。あくまで合理性を突き詰めた思考故のものだ。そこに情を介在させてはいない。

「あの少女は相当に欲張りだったと見える。よもや我がマスターと共にいたいと願うのみならず、強くなりたい(・・・・・・)とも願っていたとはな。キリエライト女史という具体的な例を見ていた故か現実的なイメージで力を欲し、あろう事かキリエライト女史と同じ存在(・・・・)になったのだからな」

 管制室のモニターが示す、桜のパーソナルデータは、人間の物ではない(・・・・・・・・)のだ。そう、それはデミ・サーヴァントのものである。
 ロマニが頭を抱えた。

「――大聖杯の中にあった湖の騎士の霊基(・・・・・・・)と同化するなんて、しかもそれでなんの問題も起こらないなんて、どれだけあの娘はメチャクチャなんだ!」
「さしづめ桜ンスロットっていった所かな?」

 あははー、と。言ったダ・ヴィンチ本人は乾いた笑いを溢している。笑うしかなかった。
 桜が間近で直接見た、最も強いサーヴァントが彼だったのだろう。
 アグラヴェインは忌々しげに桜の霊基パターンを睨み付けている。生前の彼を殺めた騎士が、堪らなく不愉快なのかもしれなかった。しかしその負の感情を桜へ向けている訳ではないあたり、流石に理不尽な八つ当たりのような真似はすまい。

「……アレは、マスターと
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