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勇者に恋人を奪われて引退した元救国の騎士の復活譚
ギルドの雑用係
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 以上が、俺の装備だ。

 主武装となる短槍は、従来の槍よりも一回り短く、軽い。
 それにより、取り回しが利いて扱いやすいため、直剣に次いで前衛の初心者達に人気な武器である。
 リーチが短くなってしまうものの、世界で一番使用者がいる直剣よりは明らかに長いので、そこまで気にすることではない。

 又、取り回しが利くということは、次の攻撃に手間隙を掛けずに移すことが出来るということも表すので、攻撃速度もやや速いし、何より冒険者という職業柄で洞窟を探索する機会が多いのだが、長く重い長槍だと洞窟内での戦闘中に、扱いにくさで近くの岩肌に当たってしまうことがあり、どうしてもその長さという利点が難点になってしまう。
 しかし、短槍ならば、洞窟内での戦闘中に、従来より短く、取り回しが良いため、近くの岩肌に当たってしまうことが無くなるので、汎用性の面で見ても、短槍は素晴らしい武器と言えるのだ。

 最初は慣れないその軽さと短さで、感覚が鈍り、思うように動けなかったのだが、今はもうすっかりと慣れ親しんでいる。

 次に直剣なのだが、これは単に、槍に次いで扱える武器ということと、汎用性に富んでいるので選んでいる。
 短槍と同じように、軽く丁度良い長さなので、色々な状況下での戦闘が可能だ。

 投げナイフはより効率的な戦闘運びをするときに扱う武器だ。
 遠距離から攻撃を仕掛けてくる魔術師や弓士、銃士への対抗手段、もしくは牽制として扱うことも出来るし、奇襲時や敵の集団を撹乱させたい時、敵の注意を引く時にだって活躍する。
 正に万能だ。

 後の物の説明はさておき、今は目の前のことに集中しなければ。

 少し位置を調整し、周囲に木々があるので短槍よりも更に取り回しの良い片手剣をゆっくりと引き抜いた。
 左足引き、また同じように左腕を引く。そして、右足へ重心を置いた後に、剣を掴んでいる右腕を体の軸に合わせるように虚空へ突き立てる。

 王国流剣術に自分なりに研鑽積んで調整を繰り返し、最終的に出来て身に付いた我流とも言える型であるが、実際の実用性はこちらの方が高い。
 型としての強さなら王国流剣術の方だが、単純な強さであればこちらの剣術の方が強く、また堅いのだ。

 「……よし」

 最近は敵から逃げてばかりで戦闘してこなかったが、我流剣術は正当な剣術よりも衰退が早いので、腕が廃れぬうちに今日ぐらいは戦うことにしよう。
 少し緊張気味だが、やらなければ。

 俺には待ってくれてる人が居るから。

  
 
 ──ゴブリン族だったらいいな

 と、唯一この森で意思疏通出来る種族であることを期待しながら、剣の柄を強く握り締めるのだった。
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