暁 〜小説投稿サイト〜
人理を守れ、エミヤさん!
謁見だよ士郎くん!
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に、一向に近づいてくる気配がありません」
「……言われてみれば確かに」

 目の前の英雄王に集中しすぎた。普段はしないような珍ミスである。
 俺は嘆息し、思考を切り替える。クー・フーリンに言った。

「どう視る」
「ああ、どうにも(やっこ)さん、面倒なことになっちまってるぜ」
「面倒?」
「見てみろよ。マスターの方が眼がいいだろ。あっちだ」

 言われるがまま、俺は脚に強化を叩き込んで軽く跳び、城壁の上に登って高所からアインツベルンの森の外れの方へ目を遣った。
 目を細める。
 そこには俺の見たことのない、しかし知識として識る魔物――『泥』に塗れた海魔の群れが氾濫し、この城に流れ込んでこようとしているではないか。
 それを期せずして塞き止める形となっているのは、戦車を操る赤毛の巨漢と。

 なんか見覚えのある魔術王。

「……」

 俺はいつの間にか隣にまで来ていたクー・フーリンに視線を向ける。
 曖昧な表情で肩を竦めた彼に、心の底からの疑問を投げた。

「なにやってんだアイツ」

 オレが知るか、とクー・フーリンは苦笑した。






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