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レーヴァティン
第八十九話 大坂に戻りその八
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「昔から博打で身を持ち崩した奴の話を聞いてきた」
「多いからね、昔から」
 そうした者はとだ、桜子も答えた。
「のめり込んでね」
「そうしてだな」
「そうそう、借金まで作って家族も苦しめて」
「そんな奴がいるな」
「それは馬鹿だよ」
 桜子はそうした輩のことを一言で切り捨てた。
「何でも溺れたら駄目だよ、ましてやね」
「借金を作って家族に迷惑をかけてはな」
「人間として終わりだよ」
「全くだな」
「何でも遊びは楽しむものでね」
 博打も然りであることは言うまでもない。
「溺れたら駄目だよ、しかもね」
「他の人に迷惑をかけるとな」
「問題外だよ」
「全くだな」
「そんなことになったらね」
 それこそというのだ。
「人間辞めてるよ」
「そこまでだな」
「遊びってのはね」
「遊ぶものだな」
「溺れるものじゃないんだよ」
 そこは違うというのだ。
「遊びと溺れるってことはね」
「だからだな」
「そうさ、博打ってのは詠みだろ」
「今日は負けると読めばな」
「止めるべきなんだよ」
 博打自体をしてはならないというのだ。
「さっと下がってね」
「帰るだけか」
「そこでしたらね」
「負けてだな」
「借金が増えていくんだよ」
 間違っても意固地になって続けてはならないというのだ、借金が増えていくことが嫌であるならばだ。
「法皇様も言っておられただろ」
「白河院だな」
 院政をはじめられた方である、以後平家の台頭まで日本は院政の時代となった。
「そうだったな」
「賽子の目はどうにもならなかったんだよ」
 天下を治めておられた方でもだ。
「博打ってのは確実なものじゃないんだよ」
「だからこそ遊びだな」
「花札でもトランプでもね」 
 そうしたカードを使った遊びもというのだ。
「確実に勝てるものじゃないんだよ」
「だからだな」
「そうさ、今日は駄目だって思ったらね」
「帰ってな」
「また別の日だよ、それを意固地になったらね」
 勝とう、そう強く念じてだ。強い念はいいものだがそれが博打等に向かえば悪いものになってしまうのだ。
「溺れてね」
「借金を作ってな」
「それでだよ」
「家庭も崩壊させるな」
「そうなるさ、だからね」
「博打は遊ぶだけか」
「溺れるなんてもっての他だよ」
 それこそというのだ。
「絶対にね」
「そういうものだな」
「断じてね」
 そこはというのだ。
「まあそれは儲ける方にはいいかもね」
「ヤクザ屋にとってはか」
「そうさ、博打で銭を巻き上げて」
「借金までさせてな」
「それを取り立ててね」
 それもしてというのだ。
「家も娘も売らせるとかね」
「時代劇でよくある話だな」
「タチの悪いヤクザ屋さんならそれ位するよ」

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