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許されない罪、救われる心
77部分:第七話 地獄のはじまりその四
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第七話 地獄のはじまりその四

「それは今は終わっています。しかし」
「しかし?」
「しかしって?」
「いじめは許してはなりません!」
 拡声器を右手に持って大声で叫ぶ。
「そう、何があろうともです」
「っていうかいじめがあったのか」
「またそれは酷いな」
「そうよね」
「恥ずかしいことです」
 善人の仮面はここでも被っている。
「僕のクラスでそんなことがあったとは」
「それでどうしたいんだよ」
「問題はそれだけれど」
「ねえ」
 皆ここで話すのだった。
「一体何がしたいんだよ」
「校門で怒鳴っているだけ?」
「それじゃあ何もならないけれど」
「何がしたいのかな」
「僕はいじめは許しません!」
 周りの声に応えるようにして出した言葉だった。
「だからこそ今訴えます!いじめを撲滅しましょう!」
「そういえばこいつ一年の?」
「ああ、転校生だったよな」
「そうだよな」
 ここで皆彼の経歴を思い出して話した。
「あのクラスか」
「あのクラスでいじめがあったって?」
「あっ、そういえば」
 ここで気付いたのはだ。ラクロス部の部員だった。
「ラクロス部でもそうした話あったのよ」
「えっ、ラクロス部でも?」
「そうなの?」
「この人と同じクラスの娘で。マネージャーやってる」
「ああ、一年の椎葉」
「あの娘ね」
「あの娘が被害者なの」
 彼等は口々に話していく。岩清水はそうしたことは言っていないが少しずつだ。彼等が自然と話の確信に近付いていっていたのだ。
「じゃあラクロス部のいじめとクラスでのいじめって」
「一緒?」
「そうよね」
「同じだったんだ」
「皆さん、いじめている人間は必ずいます!」
 また言う岩清水だった。
「許してはなりません、いじめを!」
「そうだよなあ。そんなことする奴最低だよな」
「いじめなんてね」
「する奴は」
 普通の人間はいじめを忌み嫌う。それならばであった。それを行う人間を忌み嫌うのも当然の流れであった。そうしてである。
 岩清水は話を続けていく。だがここで校門に先生の一人が来た。
「あの、岩清水君」
「何ですか?」
「あまりそうしたことはしない方が」
 若い男の先生である。その先生が彼を注意しに来たのだ。
「いいんじゃないかな」
「どうしてですか?」
「朝だし。校門で騒ぐのは」
「いじめについて皆に知ってもらいたいだけですけれど」
「それならクラスや部活の問題じゃないかな」
 その若い先生は常識の範囲で彼に注意する。
「だから。ここで朝から言うのは」
「いえ、それは違います」
 岩清水はあえて毅然としてその先生に言い返した。
「そうではありません」
「違うっていうのかい?」
「いじめは見て見ぬふりをして解
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