第六十九部第五章 分権派の警戒その十七
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「いいです」
「そうですか」
「しかし、財界で」
「有力な方がです」
「ブラジル、トルコとですか」
「お話をしたくあちらからもです」
「申し出ていますか」
グリーニスキーはここでわかった、伊東が何故知っているのか。
彼女は既に動いていてこちらの状況を調べていたのだ、そしてそのうえで昨日から話をしていたのである。
そのことに気付いて内心歯軋りしだ、しかしそれは表に出さずに応えた。
「そうなのですね」
「貴国の財界に」
「しかし財界も広く」
「それで、ですね」
「産業によりますね」
ここでは財界と産業界は一つにされて話されている。もっと言えば財界と政界はそれぞれ違う世界で対立することも多い。
「それは」
「確かにそうですね」
「しかし、それ故に」
「はい、貴国もです」
「ブラジル、トルコとですね」
「ここは協調してもいいのでは」
こう伊東は言った。
「六国で」
「そうですね」
グリーイスキーはここで伊東の目を見た、その奥まで。そのうえで彼女の目の光を確かめて真偽を探った、そして。
そのうえでだ、伊東にこう答えた。
「わかりました」
「それでは」
「はい、その様にです」
「聞いて頂けますか」
「六国でいきましょう」
こう伊東に返した。
「その様に」
「それではですね」
「はい、その様に」
「有り難いです、それでなのですが」
伊東はグリーニスキーの言葉を微笑んで受けてまた言った。
「我が国としてはです」
「何でしょうか」
「一つ貴国にお渡しするものがあります」
「と、いいますと」
「はい、スモレスク星系の開拓ですが」
丁度ロシアが開拓中の星系である。
「少しですが援助を」
「資金のですか」
「それをして宜しいでしょうか」
「はい」
見返りをだ、グリーニスキーは受けた。
「それではその様にお願いします」
「では」
「連合政府には各国政府全てであたり」
「六国で主導していく」
「その様にしていきましょう」
「この度は」
「敵は強いです」
今の連合中央政府はというのだ。
「ですから」
「全ての国で、ですね」
「あたらないとです」
それこそというのだ。
「敵いません」
「その通りですね」
「これ以上中央政府の権限が大きくなりますと」
伊東もこう考えているのだ、日本の首相として。
「我々にとって不都合です」
「それも実に」
「ですから全ての力を合わせましょう」
「それでは」
「はい、では六国で主導ということで」
「やっていきましょう」
「それでは」
こう言うのだった、グリーニスキーも。
それでだ、内心思うところがあるがだ。
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