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戦術の勝、戦略の勝
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戦術の勝、戦略の勝




 ぎょろりと蠢く無数の目。波動となって肌を打つ桁外れの魔力量。そそり立つ肉の柱を見上げた俺の所感は、巨大な魔物から感じる威圧感への戦慄と――得体の知れない、正体不明の既知感だった。
 この魔力を、俺は知っている気がする。
 それがなんなのか、すぐには思い出せず。慎重に、足元から突き出てきた異形の柱の出方を窺う。
 ちょうど、柱を隔てて向こう側に立つアルトリアがこちらを見た。首を横に振る。仕掛けるな、側にいるネロの護衛に専念しろ、と視線で制する。

「……マシュ。大丈夫か?」

 青白い顔の少女。盾の英霊のデミ・サーヴァント。人面大樹となった者達の死の衝撃は抜けきっていないようだ。
 俺は、マシュを気に掛けたわけではない。いや心情的には心配で堪らなかったが、死への感傷は自分で処理できるようにならなければならない。そうでないと彼女は誰かに依存して、その在り方を歪めてしまうだろう。
 故に俺の言葉の意味は、マシュを戦力に数えてもいいか、という冷酷な質問。ここで踏ん張れないようなら、俺はもうマシュに土壇場で信頼を寄せることはできなくなる。安定した戦力こそが鉄火場で必要とされるからだ。そこに情の介在する余地はない。アニメや漫画にありがちな、劇的な成長と爆発的覚醒を期待するのは馬鹿のすることである。

「だ、大丈夫、です。マシュ・キリエライト、いつでも行けます」
「……マシュ。死に慣れろと言うつもりはない。たが少しでも無理をしているなら……」
「大丈夫です! わたしは……先輩のデミ・サーヴァントですから……!」

 必死の形相で俺を見るマシュ。その意識はこちらに向いて、他への注意は逸れた。

「……そうか。なら守りは任せる。頼むぞ」
「はい!」

 表情を少し明るくしたマシュを横に、俺はちらりと魔物の柱を見た。
 今、俺の守りの要であるマシュを、わざと言葉で揺さぶり、守りを薄くしたのだが……この柱はまるでそれに釣られず、沈黙を保ったまま目を頻りに動かしていた。
 無数にある眼、その一つがオルタから視線を逸らさないでいるのに俺は舌打ちする。

 マシュの守りが薄くなったところで俺を狙えば、オルタに横から仕掛けさせるつもりだったのだが……厄介だ。敵の知能を見極めるべきだろう。
 アルトリアとネロへの警戒は薄い。防御に専念する必要があると知っているのか……
 俺を凝視する眼は多い。が、逆にマシュはまったく注意を払われていない。マシュを側から離さないと察している……?

 次いで、警戒されているのがオルタだろう。

 現在、戦力として浮いているのがオルタだ。決定打を放てる攻撃力をも併せ持ち、この場では最も自由度の高い運用が可能である。
 つまりこの魔物は敵の脅威と戦力を冷静に推し
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