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人理を守れ、エミヤさん!
幕間の物語「いつかどこかの時間軸」2
鬼!悪魔!士郎くん!
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 第一特異点 定礎復元 完了 を 確認

 所要時間 三十九時間四十三分二十七秒





 ――それは衛宮士郎がレイシフト以前に宣言していた四日間を大幅に短縮した記録。九十六時間の半分以下、約一日と半日で一度目の聖杯探索を終えたことになる。

 瞠目に値するこの戦果に、絶望に染まりそうだったカルデアは沸き立った。
 無理もない、十日以内に二つもの特異点の定礎を復元し、聖杯を回収することなど、どんな英雄にだって不可能に近い難業である。
 誰しもが諦めかけていた。もう駄目だと膝を屈しかけていた。
 だが、カルデア最後のマスターは、第一特異点の聖杯を二日と経たない内に回収し歴史の流れを修正してのけたのである。ならばもう一つだって不可能じゃない。このマスターなら、あと八日も猶予があれば必ず成し遂げられる。

 そう信じることで、希望を持つことができた。悲観的な状況にある彼らにとって、その希望がどれほど得難いものかは想像に難くない。彼らカルデア職員らの期待と縋るような目に、マスターはあくまで泰然とした姿勢を見せていたものだが――

 ――俺、衛宮士郎は自室にまで来ると、ベッドにどすんと腰掛け、深々と、深々と、深々と溜め息を吐いた。

 それは鉛を通り越し、鋼のように重い吐息だった。

「もう二度とやらないぞ、こんな無茶苦茶なことは」

 薄氷の上の勝利だった。また同じことをしろと言われても絶対に無理だと言える。というか可能でもやりたくない。

 もしアサシンの情報に誤りがあれば。もし早期に聖杯所有者を発見できなかったら。もし敵の主力を纏めて一掃できなかったら。もしも敵本拠地を発見するのが遅れていたら。もし敵の警戒心がもう少し高ければ。もし敵に聖剣を防げる超級のサーヴァントがいたら。もし、もし、もし――何か一つでもミスがあったら敗れていたのはこちらである。

 完全に運の要素の高い戦いだった。如何にして情報を収集するか、完全にアサシンの切嗣頼りで、ダ・ヴィンチに移動用のバイクを送って貰わなければ戦いにも時間制限にも間に合わなかった。
 危機的状況。伸るか反るかの大博打。なにやらアラヤさんからの熱い視線を感じないでもない一幕。

 暫し頭を空にして、虚空を何をするでもなく眺め、のろのろと赤原礼装、射籠手、改造戦闘服、下着を脱ぎ裸体となる。
 そして全身を隈無く検分すると、右手の親指以外にも、左足首から先がほぼ黒ずんでいるのが確認できて顔を顰めた。
 帰還する直前の辺りから、左足に奇妙な痺れを感じていたが、どうやら左足首から先の皮膚が壊死し、黒くなっていたようだ。何か身体に異常が出ていないかロマニに診て貰う必要がある。
 解析の結果は、問題ないのだが。念のため。

 とりあえず、自室のシャワールームに入
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