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馬鹿息子を探して
第四章
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「ではこれからです」
「海の中に入ってでごわすな」
「海中散歩を楽しみましょう」
「わかったでごわす」
「僕は鰐人なので水中でも目が見えますが」
 勿論海中でもだ。
「呼吸が続かないので」
「それで、でごわすな」
「こうした石は有り難いです」
「海の中に入るにしてもでごわすな」
「ですからここは」
「二人で、でごわすな」
「この石をお口の中に入れて海中散歩を楽しみましょう」
 又吉は鰐の顔を綻ばさせてそのうえで北原にも石を渡してだった、二人でその石を口の中に含んでだった。
 海の中に入って泳ぎつつ海中散歩を楽しみだした、鰐人である又吉は当然だが北原も泳ぎが達者で二人で海の中を泳いで楽しんだ。
 そして石の効果か海の底に足を着くと陸上でそうする様に普通に歩けてだった。会話も出来たので海中散歩もした。
 そうしているとだ、目の前でだった。
 例のダックの作家が相変わらず女の子達を連れて歩いていた、又吉は前にその彼を見てこう言ったのだった。
「彼ですね」
「また見掛けたでごわすな」
「流石洒落者だけあって」
「こうしたことも楽しんでいるでごわすな」
「根っからの遊び人ですね」
「そうでごわすな」
「しかしです」 
 又吉は自分の横にいる北原にどうかという顔で述べた。
「どうにもです」
「ああして遊んで、でごわすな」
「創作のヒントを得ることはいいにしても」
「親御さんに顔を出さないことは」
「十年となりますと」
 流石にというのだ。
「親不孝です」
「全くでごわすな」
 北原もどうかという顔で述べる、そんな話をしつつ作家を見ているとだ。彼とダックの女の子達の前にだった。
 鮫が出て来た、又吉はその鮫を見て言った。
「メガロドン!?この辺りにあの鮫は」
「いない筈でごわすか」
「はい、ここに迷い込んだのでしょうか」
「そうでごわすか」
「そしてあの鮫はです」 
 観れば巨大なホオジロザメだ、全長十六メートルはある。かつては四十メートルあると言われていたが新たな研究でそれ位の大きさだと判明した。
「人食い鮫です」
「ではでごわすな」
「ここは危険です、では」
「退治するでごわす」
「そうしましょう」
 二人でこう話してだ、そのうえでだった。
 二人は素早く泳いでメガロドンに向かった、その時作家を見たがこの作家は毅然としてだった。
 突然巨大な鮫が出て来て驚く彼女達に冷静な声で言った。
「落ち着くんだ、鮫は怖くない」
「えっ、けれど」
「鮫よ」
「それもあんなに大きいのに」
「怖くないなんて」
「落ち着いていれば怖くないんだよ」
 こう言うのだった、そして自分達の傍にある洞窟ダック族ならば普通に入られるそれを見て言うのだった。
「あの洞窟に入ってやり凄そう」
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