暁 〜小説投稿サイト〜
干支の巫女
制御困難の火竜編
005話 リューグの兄、リューガ
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そう言い放った瞬間にリューガの周りに黒い鱗のような炎がいくつも出現してリューグに襲い掛かる。
リューグも何度もその炎の鱗を交わしながらも、

「出遅れたが負けてやれないぞ! 飛翔鱗炎舞!!」

リューガと同じ部類の炎を展開して迎撃した。
鱗の炎同士が激突し合い激しく破裂し合う。
その爆風の中、リューガがニヤリと笑みを浮かべたのを私は見た。
まだ爆発した時の余波で煙が舞っている中でリューガの姿が一瞬にして掻き消えたのだ。
それをリューグも気づいたのだけど、私が次にリューガの姿を発見したのはリューグの背後で首筋に手刀を添えているリューガの姿であった。

「ぐっ……また、負けか」
「ふふん。ま、当然だな」

演習は終わったみたい。
それで私も手に汗握る戦いに我慢していたのか、

「す…すごいすごい! 二人ともすごかったよ! 私、何度か目で追えなかったし、なんて言っていいのか分からないけど、とってもすごかったよ!!」
「おおう…一気にスイッチが入るタイプかい、ルカの嬢ちゃんは」
「ありがとうな、ルカ。まぁ負けてしまったのだがな…」
「それでもだよ! リューグもすごかったよ!」
「ありがとう」

こんな感じで演習は終わって、

「そんじゃさっさと精霊の里に帰るとするか」
「そうだな、兄さん。ルカも案内しないといけないしな。ルカ、ついてきてくれ。里まで案内するよ」
「うん。お願いします」

私とリューグはそれで笑いあいながらも道を進んでいった。
……ただ、気づかなかったことがあった。
歩く私達の背後でリューガが目つきを鋭くして拳を強く握りしめていたことを…。
その心の内に秘めた感情はなんだったのか……。


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