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提督はBarにいる。
やっぱ冬は鍋でしょ!・その2
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五の言わずにとりあえず食え。文句は食った後で聞いてやる」

 出てきたら、だけどな。



「どれ、早速食べてみよう」

 ヴェールヌイは何の躊躇いもなく、お玉に手を伸ばして鍋をよそう。

「同志ヴェールヌイ、君には躊躇が無いのか!?」

 戸惑うタシュケントに、ヴェールヌイはフッとニヒルに笑ってみせる。

「無いね。司令官の料理の腕を私は『信頼』している。その信頼は伊達じゃないさ」

 そう言いながら黄土色に染まったちくわを摘まみ上げ、一口。

「あふっ……」

 噛んだ瞬間に溢れ出してきたスパイシーなジュースで口内が火傷しそうになる。が、そんな事は関係ないとばかりにその汁をジュルジュルと啜る。こぼすのが勿体無い……そう思える程に味わい深く、美味しかったからだ。たっぷりと出汁を含んでいたちくわそのものもフワフワで、それ単品でも十分に満足出来る美味しさだが、これは鍋。まだ食べていない具材がわんさかあるのだ。

「どうした?同志タシュケント。呆けていると私が全て食べてしまうぞ?」

 その言葉の通り、ヴェールヌイは再びお玉に手を伸ばし、鍋をよそっていく。しかも今度は山盛りだ。その具材1つ1つを噛み締める様に味わい、ウォッカを流し込んでいく。

「幸せだ……」

 蕩けたような顔で呟くヴェールヌイ。まさに幸福を表情にしたらこんな顔だろう。そんな様子を見て、ゴクリと生唾を飲み込むタシュケント。

「ほれほれ、遠慮せずに食いな」

 そんな様子を見かねて、器に鍋を持って差し出してやる。恐る恐るではあったが、受け取るタシュケント。一口食べてからはもう、凄かった。ハムッ、ハフッ、ハフハフっ、ハフッとがっついていた。そこまで美味そうに食ってもらえれば作りがいもあるってもんだ。

「あ、汁は半分以上残しとけよ?」

「ん?何でさ」

「スープの残りにスパゲティとチーズ入れて、カレーチーズパスタにするからな」

 汁をパスタソースにするんだから、汁が無ければそのシメは食べられない。

「は……」

「は?」

「早く言ってよ、危うく飲んじゃう所だったじゃないかぁ!」

 タシュケントの逆ギレの叫びが木霊する。いや、別にシメは無理して食うもんじゃねぇがな?

 


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