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天王寺動物園にて
第四章

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「フェニックスは極めて稀少な鳥です」
「日本においてもですね」
「富士山等の霊山にだけ棲んでいて」
「大坂にはですか」
「たまに住吉大社等に来ますが」
 それでもというのだ。
「動物園の外や市街地で発見されましたね」
「はい」
 その通りだとだ、千歳は研究員に答えた。
「そうでした」
「不思議ですね」
「フェニックスが、ですね」
「はい、街に出て」
「動物園の外に出るなぞ」
「有り得ないことですが」
 研究員は千歳にどうかという顔で述べた。
「到底」
「そうですね、ですが」
「ですがとは」
「一度フェニックスを見ていいですか」
「フェニックスをですか」
「はい」
 その鳥をというのだ。
「そうしてくれますか」
「それはいいですが」
「何か引っ掛かるのです」
 直観からだ、千歳はそれを感じていた。
「それで、です」
「フェニックスをですね」
「見たいのです」
「はい、当園の目玉の一つですし」
 そこまでのものだからだとだ、研究員は千歳に答えた。
「是非です」
「見ていいのですね」
「存分にご覧下さい」
 こう言ってだ、そしてだった。
 千歳は日毬と共にこの日もまたフェニックスを観た、フェニックスは広いガラス張りのコーナーの中にある木の枝に止まっていた、だが。
 その目を凝視してだ、千歳は言った。
「鳥の目とは」
「そうなのか」
「はい、何か妙にです」
 千歳はフェニックスのその目を見つつ自分を左肩に乗せている日毬に話した。研究員も一緒にいる。
「人間の目に見えます」
「そうなのか」
「そして仕草が」 
 フェニックスの動きがというのだ。
「これまたです」
「人間的か」
「あの、ミャンマーとインドの国境で獲られられたのですね」
「そうです」
 その通りだとだ、研究員も答えた。
「そちらで」
「あの、フェニックスをそうした人は」
「地元の猟師さんです」
「普通のですか」
「そうですが」
「あの、フェニックスはそもそもです」
 どうかという顔でだ、千歳は研究員に話した。
「普通に捕まえられるのですか」
「それは」
「戦いは好みませんがかなり高位のドラゴンに匹敵する知力と魔力、戦闘力を持っています」
 その強さはモンスター達の中で最高位にある、そうしたモンスターの一種なのだ。
「それが普通にですか」
「そう言われますと」
「しかも不死身です」
 フェニックスはというのだ。
「それを普通の人が獲られられるか」
「出来る筈がない」
 日毬もこう言った。
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