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獣篇V
49 策士は駆け引きがお上手
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その間私は、ガサゴソとペンを取り出すのを確認し、刀を少しずらすと、総悟が書類にサインするのをじっと見ていた。

そして総悟(かれ)がそっとポケットを漁っているのを観察していた。どうやら、印鑑を置いてきてしまったようである。そりゃあそうだろう。普段から持ち歩いている人なんて、いるだろうか。

_「どうされました?沖田さん…?」

ヒッと小さい悲鳴の後、細々と声が紡がれる。

_「ね、姐さん…あの…判子を置いてきてしまいやした。取りに帰ってもいいですかィ?」

_「んー…どうしましょうか…。あなたさえ良ければ血判でもよいですよ?その方が確実に誓うことになりますから。ですが、たかが部屋の掃除くらいで血判を押させるのも…かわいそうですし。いいですわ、判子を取って来て下さい。」

総悟(かれ)があからさまにホッとしたので、その様子に気付かれないようにニンマリと笑みを浮かべる。

_「刀は…外して差し上げましょう。只し、五分以内に戻ってこない場合は、左手の小指を頂きますので。よろしくお願いしますよ?…もちろん、判子がなければ戻ってきて頂いて構いません。では、どうぞ?」

わ、分かりやした。と言って副長室を出ていったのを確認すると、副長(ひじかた)が息を撫で下ろした。

_「零杏…お前、中々ドSじゃねェか。見てるオレさえ背筋が凍りついたぜェ?…あの総悟がビビってるくらいだからなァ。お前、無自覚か?」

刀を鞘にしまい、畳の上に座る。

_「いえ、勿論自覚していますわ。というか、あれは演技です。総悟(かれ)が二度と私の部屋に色々置かないように。一度恐怖を体験させてやろうと思いまして。」

恐ろしいな、と土方が言葉を漏らした。

_「賢い総悟(かれ)のことですから、一度体験すればもう二度と同じ過ちは繰り返さないだろうと思って。駆け引きですよ。」

そこでタイミング良く、総悟(かれ)が戻ってきた。恐らく、さっきの話も聞いていたのだろう。

_「判子、持ってきやした。」

_「はい。お疲れ様です。では、判子をお願いします。」


大人しく判子を押す姿に、少し感動してしまったのは内緒である。判子押しやした、と総悟(かれ)が言ったので、書類をもう一度確認し、okを出す。

_「はい。ではしかと受けとりました。契約は、今から果たしていただきます。また、私はまだ部屋に戻る前にすることが色々とありますので、しばらくは部屋に戻りません。…恐らく15分後くらいになると思います。では、よろしくお願い致しますね?…あとは、先程も言いましたが、私の目をごまかそうだなんて野暮な真似はしないことをお薦めしますわ。その場合、契約違反とさせていただきます。勿論、人間ですから、お手洗いなどに行きたい場合には、部屋において
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