第三十八幕:架け離れゆく虹
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七夏ちゃんの瞳は、未来まで写しているような気がする一日だった・・・なんて、思ったけど、まだ今日一日は終わっていない。今、七夏ちゃんと夕食を頂いている。今日のお料理は、さっぱりとした物が多い。
七夏「鳥のささ身を使ったお料理は、あっさりしていて頂きやすいです☆」
時崎「たしかに、食べやすいね」
七夏「高野豆腐は暖かい方がよかったかな?」
時崎「今は冷たい方がいいかな。喉が心地いいし・・・出し巻き玉子も同じかな」
七夏「はい☆ あっ、柚樹さん。足りなかったら、おかわりどうぞです☆」
時崎「ありがとう。でも昨日、今日と少し食べ過ぎだから、このくらいが丁度いいよ」
七夏「くすっ☆」
夕食を済ませて、再びアルバム制作に取り掛かる・・・。今日撮影したサッカーボールを男の子に手渡す七夏ちゃんの写真を見て、その時の七夏ちゃんが話した事を考え始めると、手が止まってしまう。七夏ちゃんは間違いなく優しいお母さんになると思う。それって、凪咲さんを見れば、七夏ちゃんの未来の姿と重なるのかも知れない。つい、今まで撮影してきた七夏ちゃんの写真を振り返ってしまう。
突然、窓の外がフラッシュのように光った。
時崎「雷?」
最初は窓の外が時々、光るだけだったけど、次第に雷の音も聞こえ始める。雷雲がこちらに近づいているようだ。窓に近づき、外の様子を伺う。僅かに街の明かりは見えるけど、ほぼ真っ暗な世界。
時崎「っ!」
暗い世界が脅かすかのように一瞬光る・・・ついで、大きな轟音。こういうのは不安な気持ちを呼んでしまう。
時崎「っ!!!」
さらにまぶしい光と、何かを割り裂くような音! そして、雨音も加わった。その時−−−
時崎「えっ!?」
突然、視界を失う、何も見えない暗闇の世界・・・どうやら停電のようだ。俺は机の上の携帯端末を探す。懐中電灯とまでゆかなくても液晶画面の光で、ある程度周りを灯せるはずだ。だけど、机の上に置いてある携帯端末画面は消えてしまっているらしく、すぐに場所が分からない。今まで明るかった部屋が急に暗くなると、黒一色の世界となって方向感覚すら麻痺する。・・・目が慣れるまでしばらくかかりそうだ。すると「トントン」と扉から音がして−−−
七夏「柚樹さん、大丈夫ですか?!」
七夏ちゃんの声がする。俺は直ぐに返事をする。
時崎「七夏ちゃん! 大丈夫!」
すると七夏ちゃんが扉を開けて入ってきた。
七夏「良かった・・・すみません。停電みたいです」
意外な事に七夏ちゃんは懐中電灯の類を持っていない。だけど、七夏ちゃんの瞳は結構輝いており、そこに目がゆく。すると俺の視線を感じ取ったらしく、七夏ちゃんは目を逸らしてしまった。
七夏「あっ・・・怖い・・・で
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