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雲は遠くて
149章 信也と竜太郎、サピエンス全史やホモ・デウスを語る
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とかな?
って、おれは思っていますよ」

「おれも、そうだと思うよ。中沢新一さんが、ある本の中で、未来の革命の(かぎ)は、
人間の脳=心の本質をなしている詩人性にあるって、言ってるでしょう。
その本の中では、『人間の現存在は、その根底において詩人的である』という
ドイツの哲学者ハイデッガーの言葉を引用したりして。
そんな意味でも、子どもたちは、みんな詩人なんだと思うよ。あっははは」

「最近の世の中は、人口知能(AI)に囲まれているせいか、データ至上主義に
なりがちで、
子どものような豊かな感性や感情が消耗しやすいですよね。竜さん」

「まったくだ。おれも会社じゃ、合理主義や効率主義、
データ至上主義とかばかりに(おちい)っているような社員には、
『もっと、自分にも他者にも思いやる優しい感情を大切にしないとだめだよ』って教えてるんだ。
みんな、子どものころのことって、忘れていくばかりなのかな。
しかし、おれも、しんちゃんが言うように、子どものころって、黄金のような輝く時間だったと思う。
まさに、心の宝石って感じかな。あっははは」

「おれも、子どものころの記憶は、輝くような日々だったって感じです。
いまも心の宝物って感じで。
いつまでも、いくら歳を取っても、そんな日々を過ごしたいし、
それは心の持ち次第で、実現可能だと思うんですけどね。竜さん。あっははは」

「そのとおりだよ。未来に必要なフィクションは、
子どもの心を大切にして生きることかもしれない。
動物行動学者で京都大学名誉教授の日高 敏隆(ひだかとしたか)さんは、
『人間も人間以外の動物も、イリュージョンによってしか、世界を認知し構築しえない』ってね。
学者も研究者も、われわれも、何か探って、
新しいイリュージョンを得ることを楽しんでいるんだ、ってね。
そうして得られたイリュージョンは一時的なものでしかないけれど、
それによって新しい世界が開けたように思うんで、それは新鮮な喜びだって言っているよね。
人間はそうしたことを楽しんでしまう不可思議な動物なのだってね。
そんなことに経済的な価値があろうがなかろうが、
人間が心身ともに元気に生きてゆくためには、
こういう喜びが不可欠なんっだって、言っているよね 」

「イリュージョンですかぁ。 幻想や幻影ってことですよね。
ハラリさんが言っている、
『実は全てフィクション』ということと、ほとんど同じですね。
そうか、人間は、そういう動物なんですかね。竜さん。あっははは」

「そ、だね!」と言って、竜太郎も笑った。

 2019年1月1日のNHK・BS1の『サピエンス全史/ホモ・デウス』の番組のラストでは、
歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリさんは、
『いま気にかけて
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